コラム
広島県の企業の30.1%がサイバー攻撃を受けた経験あり|中国地方は26.1%、小規模企業は「1か月以内」が9.0%(帝国データバンク広島支店の2025年調査)と、気づいたときにだれが何をするかを手順に書く考え方
帝国データバンク広島支店の「中国地方・サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」(2025年7月1日発表)によると、過去にサイバー攻撃を受けたことが「ある」(可能性がある場合も含む)と答えた広島県の企業は30.1%(256社のうち77社)でした。中国地方の全体は26.1%(716社のうち187社)、全国は32.0%です。中国5県では鳥取県の35.6%に次いで2番目に高い割合です。
この記事では、県別・規模別・業種別の違い、最近1年に受けた企業の割合、受けたかどうか「分からない」と答えた企業の数字を読んだうえで、気づいたときにだれが何をするかを会社の手順に書く考え方を整理します。答えた企業の自己申告を集めた意識調査です。攻撃の手口や、対策の製品の良し悪しは扱いません。
気づいたときにだれが何をするかを人の記憶に任せておく代わりに、手順と記録を会社の文章に残し、その文章づくりをAIへ渡す選択肢を記事の最後にまとめています →
広島県で、サイバー攻撃を受けたことがある企業は何%か
30.1%です。広島県の回答256社のうち77社が、過去に受けたことが「ある」(可能性がある場合も含む)と答えました。中国地方の全体(26.1%)より4.0ポイント高く、全国(32.0%)より1.9ポイント低い水準です(差は当サイトの引き算です)。
| 回答 | 広島県 | 中国地方 | 全国 |
|---|---|---|---|
| 受けたことがある(下の5つの合計) | 30.1%(77社) | 26.1%(187社) | 32.0%(3,410社) |
| 1か月以内に受けた | 4.7%(12社) | 5.2%(37社) | 6.7%(709社) |
| 3か月以内に受けた | 0.8%(2社) | 1.7%(12社) | 2.3%(242社) |
| 半年以内に受けた | 2.0%(5社) | 1.7%(12社) | 2.3%(247社) |
| 1年以内に受けた | 4.3%(11社) | 3.5%(25社) | 4.7%(498社) |
| 過去に受けたが、1年以内には受けていない | 18.4%(47社) | 14.1%(101社) | 16.1%(1,714社) |
| 全く受けたことがない | 53.1%(136社) | 56.6%(405社) | 52.4%(5,573社) |
| 分からない | 16.8%(43社) | 17.3%(124社) | 15.6%(1,662社) |
| 回答社数 | 256社 | 716社 | 10,645社 |
「受けた」はいずれも、受けた可能性がある場合を含む尋ね方です。広島県では、受けたことがある77社のうち47社が「過去に受けたが、1年以内には受けていない」と答えました。この割合(18.4%)は中国5県でいちばん高い数字です。
中国5県や規模、業種で、どう違うのか
中国5県では鳥取県の35.6%がいちばん高く、広島県の30.1%が続きます。島根県・岡山県・山口県は21〜23%台でした。
| 県 | 受けたことがある | 全く受けたことがない | 分からない | 回答社数 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 35.6%(21社) | 52.5%(31社) | 11.9%(7社) | 59社 |
| 広島県 | 30.1%(77社) | 53.1%(136社) | 16.8%(43社) | 256社 |
| 島根県 | 22.8%(23社) | 53.5%(54社) | 23.8%(24社) | 101社 |
| 岡山県 | 22.6%(38社) | 56.5%(95社) | 20.8%(35社) | 168社 |
| 山口県 | 21.2%(28社) | 67.4%(89社) | 11.4%(15社) | 132社 |
規模別では、大企業が36.3%、中小企業が24.6%、そのうち小規模企業が18.8%で、規模が大きいほど割合が高くなっています。大企業は中国地方の全体を10.2ポイント上回りました(ここからの規模別・業種別は、広島県だけでなく中国地方の全体の数字です)。
| 規模 | 受けたことがある | 1か月以内に受けた | 分からない | 回答社数 |
|---|---|---|---|---|
| 大企業 | 36.3%(33社) | 5.5%(5社) | 22.0%(20社) | 91社 |
| 中小企業 | 24.6%(154社) | 5.1%(32社) | 16.6%(104社) | 625社 |
| うち小規模企業 | 18.8%(44社) | 9.0%(21社) | 18.8%(44社) | 234社 |
業種別(回答20社以上)では、サービスが29.8%でいちばん高く、卸売と運輸・倉庫が29.0%、建設が26.9%で続きました。
| 業種 | 受けたことがある | 分からない | 回答社数 |
|---|---|---|---|
| サービス | 29.8%(36社) | 14.9%(18社) | 121社 |
| 卸売 | 29.0%(49社) | 13.6%(23社) | 169社 |
| 運輸・倉庫 | 29.0%(9社) | 16.1%(5社) | 31社 |
| 建設 | 26.9%(25社) | 20.4%(19社) | 93社 |
| 製造 | 23.8%(44社) | 19.5%(36社) | 185社 |
| 不動産 | 20.0%(4社) | 20.0%(4社) | 20社 |
| 小売 | 16.9%(13社) | 24.7%(19社) | 77社 |
最近1年に受けた企業は、どれくらいいるのか
中国地方の全体では12.0%です。「1か月以内」「3か月以内」「半年以内」「1年以内」に受けた(可能性がある場合も含む)企業の合計で、全国は15.9%でした。
レポートが目を向けているのは、小規模企業の「1か月以内」です。全体の5.2%に対して小規模企業は9.0%(234社のうち21社)で、全体を3.8ポイント上回りました(差は当サイトの引き算です)。小規模企業と中小企業では、「1か月以内」の割合が、それより前の「3か月以内」「半年以内」「1年以内」のどれよりも高く、レポートは「直近では小規模・中小企業のサイバー攻撃に対するリスクが急速に高まっている」とまとめています。
| 区分 | 1年以内の合計 | 1か月以内 | 3か月以内 | 半年以内 | 1年以内 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全国 | 15.9% | 6.7% | 2.3% | 2.3% | 4.7% |
| 中国地方 | 12.0% | 5.2% | 1.7% | 1.7% | 3.5% |
| 大企業 | 17.6% | 5.5% | 0.0% | 4.4% | 7.7% |
| 中小企業 | 11.2% | 5.1% | 1.9% | 1.3% | 2.9% |
| うち小規模企業 | 13.2% | 9.0% | 1.3% | 0.4% | 2.6% |
広島県の「1年以内の合計」は、県別の表の4つの社数を足すと30社(12社+2社+5社+11社)で、回答256社の11.7%です(当サイトの計算です)。レポートのまとめは、警察庁の発表を引いて、2024年の中小企業のランサムウェア被害件数が2023年より37.0%増えたことにも触れ、BCP(事業継続計画)の一環として対策を整えることが求められると書いています。
「分からない」と答えた企業がおよそ6社に1社いるのは、何を意味するのか
受けたことがあるかを尋ねられて「分からない」と答えた企業は、中国地方で17.3%(716社のうち124社)、広島県で16.8%(256社のうち43社)でした。およそ6社に1社です。大企業でも22.0%、業種別では小売の24.7%が目立ちます。
ここからは当サイトの読み方です。「分からない」は、受けていないという意味ではありません。受けたかどうかを判断する材料が手元にない、という答えです。だれが、何を見て「おかしい」と気づくのか、気づいた人がだれに知らせるのかが決まっていなければ、会社として「受けたかどうか」を答えることはできません。答えられないこと自体が、手順がまだ会社の文章になっていないことの表れだと読めます。
また、「全く受けたことがない」と答えた企業の中にも、気づいていないだけの会社が含まれている可能性は残ります。調査の数字は、各社が把握している範囲の答えです。
気づいたときに、だれが何をするかはどう決めるか
ここからはレポートの外の話で、当サイトの考えです。どの対策を入れるかは、専門の業者や公的な窓口と相談して決めることです。その前に、会社の側だけで決めておけることがあります。順番は次の4つです。
- 「いつもと違う」を知らせる先を1人決める=見覚えのない画面が出た、ファイルが開けない、取引先から「変なメールが届いた」と言われた、などのときに、最初に知らせる人の名前を決める。その人がいないときの2人目も書く
- 知らせたあとの連絡先を紙でも残す=ふだん頼んでいるITの業者、取引先の窓口、相談できる公的な窓口の連絡先を1枚にまとめる。パソコンが使えないときにも見られるよう、紙でも置いておく
- 起きたことを同じ型で記録する=日時、気づいた人、見たもの、知らせた相手を、決まった型で書き留める。あとで業者や窓口に説明するときの材料になる
- 年に1回、手順を読み合わせる=連絡先や担当が変わっていないかを確かめる。人が入れ替わっても、同じ手順が会社に残るようにする
この4つのうち、手順書の下書きを作る、記録の型を作る、たまった記録を時系列に整理する、といった文章の事務はAIに下書きを任せられます。担当の方が一から書き起こす時間が、経営者と担当の方に戻ります。ただし、パスワードや取引先の個人情報などはAIに入れない、と手順にも書いておきます。手順と記録を整えても、攻撃を受けないと言い切れるものではありません。
中小企業向けの考え方は、情報処理推進機構(IPA)が中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインを公開しています。災害や事故も含めた事業の続け方は広島県のBCP(事業継続計画)の記事に、生成AIの使い方の線引きは広島県の生成AI活用の記事にまとめています。
この記事を読むときの注意
- 対象=中国地方に本社を置く企業2,053社に尋ね、716社が答えた意識調査です(回答率34.9%)。調査期間は2025年5月19日から5月31日、インターネット調査です。広島県の回答は256社です。答えた企業の数字で、県内のすべての企業の実態ではありません
- 「受けた」の中身=「受けた」はすべて「可能性がある場合も含む」という尋ね方です。被害の有無や大きさを尋ねた数字ではありません。何をもって攻撃とするかは、答えた企業の判断です
- 広島県の数字がある範囲=広島県だけの数字がレポートにあるのは、県別の1行だけです。規模別、業種別、1年以内の内訳の表は、中国地方の全体の数字です
- 規模の区分=大企業・中小企業・小規模企業の分け方は、レポートに説明がありません。小規模企業は中小企業の内数です
- 回答社数が少ない区分=業種別は回答20社以上の7業種だけを載せました(農・林・水産9社、金融9社、その他2社は省いています)。鳥取県は59社の答えなので、1社で約1.7ポイント動きます(当サイトの計算です)
- 当サイトの計算=広島県と中国地方の差4.0ポイント、広島県と全国の差1.9ポイント、小規模企業と全体の差3.8ポイント、広島県の1年以内の合計30社・11.7%、「およそ6社に1社」「1社で約1.7ポイント」は、レポートの数字から当サイトが計算したものです
- 新しい版=2026年10月14日に探した範囲では、この調査の2026年版は見つかりませんでした。新しい版が出ると数字が変わります
- この記事が扱わないこと=攻撃の手口、対策の製品やサービスの良し悪し、被害を受けたときの法的な対処や届け出の判断は扱っていません。被害が疑われるときは、専門の業者や公的な窓口に相談してください
- 転載について=レポートは転載を禁じているため、表は複製せず、数値を引用して記事用に作り直しています
出典
- 帝国データバンク広島支店「中国地方・サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」(2025年7月1日発表)
- 情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」
- 広島県のBCP(事業継続計画)の記事(当サイト)
- 広島県の生成AI活用の記事(当サイト)
※本記事は2026年10月14日時点の公表情報にもとづいています。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
受けたかどうか「分からない」と答えた企業が、およそ6社に1社ありました。気づいたときの連絡の順番と、起きたことの記録を会社の手順として残すなら、その手順書の下書きと記録の整理はAIに任せられます。
任せられる仕事の一覧は支援内容にまとめています。
ご相談について
「どの作業なら任せられるのか、まだ分からない」という段階で、まったく問題ありません。オンラインは全国どこでも対応します。対面をご希望の場合は広島県内へお伺いします。竹原市に拠点があるため、竹原・三原・東広島は特にお伺いしやすい地域です。
更新のお知らせは公式LINEとブログで
たどる
残す
見る