コラム
iPadとスマホで動くレジと在庫管理|電波が切れても止まらない道具をClaude Codeで自社開発した話
当社では、iPad とスマホで動くレジと在庫の道具を、Claude Code を使って自社で作りました。iPad 1台から始めて、混む時間だけスタッフのスマホを2列目、3列目のレジにできます。どの台で売れても在庫の残りの数がそろい、電波が切れても会計は止まりません。チームでのマルシェへの出店で、実際に使っています。
この記事では、何を作ったのか、できること、どういう作りで動いているのか、小売店で使うとしたらどこが役に立つのか、使う前に知っておいてほしい注意をまとめます。お客様の事例ではなく、当社が自分たちの出店のために作った道具の話です。Claude Code は、日本語で指示するとプログラムを組み立ててくれるAIの道具です。
レジや在庫の数え直しに経営者の時間を使い続ける代わりに、店に合う道具をAIと一緒に作る選択肢を記事の最後にまとめています →
何を作ったのか
ひと言でいうと、iPad 1台から始められて、スマホを足せば列を増やせるレジです。チームで出店すると、売り場は1つでも、混む時間はレジが足りなくなります。かといって、レジの端末を何台も用意するほどではありません。そこで、スタッフが持っているスマホをそのままレジにして、在庫の残りは全部の端末でそろうようにしました。
会場は人が集まると電波が混み合います。そのため、電波が切れても会計を続けられることを、最初から条件にしています。あわせて、お客様が自分のスマホで商品を選んで注文する「セルフ注文」も付けました。選ぶのはお客様、確定するのはスタッフ、という分け方です。
どんなことができるのか
できることは次のとおりです。会計と在庫の記録が中心で、決済そのものはしません(注意の節で説明します)。実際の画面の動きは、架空の店のデータで操作したデモ動画を、支援内容のレジと在庫の道具づくりのページで見られます。
| 区分 | できること |
|---|---|
| 会計 | 商品の写真のボタンを押してカゴに入れ、数を+と−で直し、支払い方法(現金、QR決済など)を選んで確定します。2つの払い方を合わせた支払いも、内訳つきで記録します |
| 在庫 | 残りの数を自動で計算します。売り切れの商品は押せません。残り10個以下は赤で表示します。破損や試食などで数が変わったときは、理由をつけて手直しを記録します |
| 複数のレジ | iPad を親機にして、スマホを足して最大10台まで。どの台で売れても残りの数がそろいます。レジは担当者の名前で選びます |
| セルフ注文 | お客様が自分のスマホで商品と支払い方法を選ぶと、注文のQRコードと4桁の番号が出ます。スタッフがそれを読み取って確定すると、お客様の画面が控えに切り替わります |
| 控え | 確定したあとに、合計と明細を載せたお客様向けの画面を出します。その画面のQRコードから、印刷やPDF保存ができるWebの控えを開けます |
| 集計 | 作り手・仕入れ先別、商品別、日別、支払い方法別に集計し、CSV(表計算ソフトで開ける形式)で書き出せます。管理する人は、全部の端末を合わせた数字を別の画面で見ます |
| 電波が切れたとき | 会計を端末の中に保存して、そのまま続けます。つながったら自動で送り、ほかの端末で売れた分を受け取ります |
| 支払いへの案内 | セルフ注文の画面から、店舗用のQR決済の画面へボタン1つで移れます。金額は画面に出し、コピーもできます |
どういう作りで動いているのか
専門用語をできるだけ使わずに書くと、画面、データ、入口の3つの組み合わせです。
| 部分 | 中身 | 使う人から見ると |
|---|---|---|
| 画面 | Next.js という仕組みで作り、あらかじめ書き出したページとして配ります。スマホのホーム画面に追加すると、アプリのように開けます | アプリストアからの入れ直しは要らず、ブラウザで開くだけ |
| データ | 会計は、まず端末の中に保存します。会計、取消、在庫の手直しを1件ずつ通し番号つきで Cloudflare(ネットの配信や小さなサーバーを貸している会社)に送り、ほかの端末と受け渡します | 電波が切れても止まらず、つながったら数がそろう |
| 入口 | スタッフの画面は、許可したメールアドレスに届く番号でログインします。お客様が開く注文のページと控えのページだけは、ログインなしで開けます | 店の数字はスタッフしか見られない |
通信量は、会計1件でおよそ1.3KBです。1日に500件の会計があっても、1台あたり写真1〜2枚分ほどに収まります。当社の使い方では、Cloudflare の無料の範囲と、すでに持っている独自ドメインで動かしています。無料の範囲や条件は Cloudflare 側で変わることがあるので、同じ形で作る場合は、その時点の条件を確かめてください。
作ったのは当社の代表で、Claude Code に日本語で指示しながら組み立てました。最初の試作は半日ほどで動き、そのあと出店の準備に合わせて、セルフ注文、在庫の共有、細かい使い勝手の直しを足していきました。
小売店で使うとしたら、どこが役に立つのか
マルシェへの出店のために作った道具ですが、店舗で使う場面に置き換えると、次の5つが見どころです。
- レジの台数を増やさずに、混む時間だけスマホを2列目のレジにできる=イベントへの出店、催事、セールの日など、ふだんより混む日だけ列を増やせます
- セルフ注文で、行列の待ち時間を短くしやすい=並んでいる間にお客様が商品を選んでおけば、レジでは読み取って確定するだけです。お金の責任は、確定するスタッフが持つ形のままです
- 電波の弱い場所でも止まらない=催事場、地下、屋外など、電波が不安定な売り場でも会計を続けられます
- 原価を持たせていない=記録するのは売上までで、粗利は別の表で見る運用にしています。店の大事な数字をアプリに持たせない設計です
- 店に合わせて変えやすい=商品の一覧(写真、価格、区分)、支払い方法の種類、集計の切り口、控えの文面は、業種に合わせて差し替えやすいところです
使う前に知っておいてほしい注意
便利な面だけでなく、できないことと、先に決めておくことがあります。
- 正式なレジや会計ソフトの代わりではありません=インボイス制度に対応した領収書、税率ごとの内訳、レシートの印刷には対応していません。レシートプリンターは、ブラウザから直接は印刷できない見込みです
- 決済そのものはしません=QR決済などの代金は、決済事業者の店舗用のQRコードで別に受け取ります。アプリがするのは、記録と、支払いの画面への案内だけです
- 個人の送金リンクで売上を受け取る形は避けてください=決済事業者や出店先の規約に触れることがあります
- お客様の個人情報は扱いません=お客様の名前や連絡先は入れない設計です。扱う場合は、個人情報の扱いについての説明と同意が別に必要になります
- 電波が切れている間の売りすぎ=2台で同時に最後の1個を売ると、残りの数がマイナスになります。その場合は管理の画面と在庫の画面で赤く表示されますが、その後の対応(お詫びや返金など)は店で決めておく必要があります
- 置き場所と管理する人を最初に決める=公開の仕組み、ログイン、データの置き場所を、店側で管理するのか、作った側が預かるのかを、作り始める前に決めておきます
- この記事の範囲=当社がマルシェへの出店で使っている形をもとに書いています。ほかのお店で同じものが同じ期間や同じ費用でできることを約束するものではありません
※本記事は2026年10月24日時点の、当社の道具の内容にもとづいています。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
レジの会計、在庫の数え直し、売れた数の集計は、どれも毎回同じ形で繰り返す仕事です。手順と記録の形が決まっていれば、店に合う道具を作るところも、毎日の集計をまとめるところも、AIに渡せます。
任せられる仕事の一覧は支援内容にまとめています。
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