コラム
広島県の事業者の生成AI活用率は23.8%|10人未満は21.1%、使わない理由の1位は「具体的な効果がイメージできない」59.4%(広島県の令和7年度DX実態調査)と、どの仕事を渡すと何時間戻るかを先に書き出す考え方
広島県商工労働局経営革新課の「令和7年度DXに関する実態調査」(令和7年12月17日付の資料)によると、有料版または無料版の生成AIを「活用している」と答えた広島県内の事業者は23.8%(有料版7.1%・無料版16.7%)でした。前年度の11.1%から上がっています。従業員10人未満の事業者は21.1%で、使っていない事業者が挙げた課題の1位は「具体的な効果がイメージできない」の59.4%でした。
この記事では、規模別の活用率、使っていない事業者の課題、DXの取り組み状況を読んだうえで、帝国データバンク広島支店の調査(34.7%)と数字が違う理由と、「効果がイメージできない」を解く順番を整理します。県が無作為に選んだ事業者に尋ね、規模ごとの事業者の割合に合わせて補正した推定値です。
効果が見えないまま様子を見る代わりに、どの仕事を渡すと何時間戻るかを先に書き出し、その下書きをAIへ渡す選択肢を記事の最後にまとめています →
広島県で、生成AIを活用している事業者は何%か
23.8%です。有料版を活用している7.1%と、無料版を活用している16.7%の合計です。前年度は有料版3.0%・無料版8.1%で合計11.1%だったので、1年で12.7ポイント上がりました(差は当サイトの引き算です)。
| 回答 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 活用している(有料版) | 7.1% | 3.0% |
| 活用している(無料版) | 16.7% | 8.1% |
| 活用している(合計) | 23.8% | 11.1% |
| 検討中である | 6.1% | 5.2% |
| 関心はあるがまだ特に予定はない | 25.0% | 36.2% |
| 今後も取り組む予定はない | 45.1% | 47.5% |
「関心はあるがまだ特に予定はない」は36.2%から25.0%へ下がり、その分が「活用している」へ動いたように見えます。一方で「今後も取り組む予定はない」は45.1%で、前年度の47.5%からあまり動いていません。活用していない事業者(検討中・関心はある・予定はないの合計)は76.2%です。
従業員の規模で、どれくらい違うのか
規模が小さいほど、活用している割合は低く、「今後も取り組む予定はない」が多くなります。10人未満の事業者は活用している割合が21.1%で、半数の50.0%が「今後も取り組む予定はない」と答えました。
| 回答 | 10人未満 | 10〜100人未満 | 100人以上 |
|---|---|---|---|
| 活用している(有料版) | 6.2% | 10.9% | 27.1% |
| 活用している(無料版) | 14.9% | 24.9% | 33.0% |
| 活用している(合計) | 21.1% | 35.8% | 60.1% |
| 検討中である | 5.9% | 6.6% | 11.9% |
| 関心はあるがまだ特に予定はない | 23.1% | 34.8% | 22.5% |
| 今後も取り組む予定はない | 50.0% | 22.8% | 5.5% |
県内の事業者のうち10人未満が82.4%を占めるため(調査の補正に使われた総務省統計局のデータ)、県全体の23.8%は10人未満の21.1%に近い値になります。100人以上では6割が活用していて、有料版が27.1%と、10人未満の4倍を超えています(倍率は当サイトの計算です)。
使っていない事業者は、何を課題に挙げているのか
いちばん多いのは「具体的な効果がイメージできない」の59.4%です。前年度の69.1%からは下がりましたが、2位の「費用負担が大きい」19.1%の3倍を超えて、ほかの課題を大きく引き離しています(倍率は当サイトの計算です)。この設問は、生成AIを「検討中」「関心はあるがまだ特に予定はない」「今後も取り組む予定はない」と答えた事業者だけに尋ねたものです。
| 課題(複数回答) | 全体 | 10人未満 | 前年度の全体 |
|---|---|---|---|
| 具体的な効果がイメージできない | 59.4% | 57.7% | 69.1% |
| 費用負担が大きい | 19.1% | 17.3% | 26.7% |
| ルールや基準の作成が難しい | 14.8% | 11.6% | 18.6% |
| 誤った回答を信じて業務に利用してしまう | 14.5% | 12.7% | 16.7% |
| 入力した情報が漏洩するリスクがある | 11.2% | 9.9% | 10.0% |
| 生成AIに頼りすぎて社員のスキルが低下する | 8.8% | 7.4% | 10.5% |
| 著作権侵害が発生する | 5.2% | 4.2% | 6.4% |
| 社内からの理解が得られない | 3.7% | 2.8% | 3.5% |
| その他 | 18.5% | 20.8% | 12.1% |
10人未満でも、1位は「具体的な効果がイメージできない」の57.7%です。情報の漏洩や著作権を課題に挙げた事業者は1割前後で、使っていない理由の中心は、危ないからというより、何に使えば何が良くなるのかが見えないことにあります。著作権の考え方は生成AIの文章や画像をチラシやホームページに使ってよいかの記事にまとめています。
DXの取り組みは、どこまで進んでいるのか
DXを「知っている」と答えた事業者は28.2%で、前年度の24.4%から上がりました。デジタル技術の活用を含むビジネス変革に「既に取り組んでいる」は29.5%で、前年度の30.2%とほぼ同じです。
| 項目 | 全体 | 10人未満 | 10〜100人未満 | 100人以上 |
|---|---|---|---|---|
| DXを「知っている」 | 28.2% | 24.0% | 46.0% | 77.8% |
| ビジネス変革の必要性を感じている | 50.0% | 44.8% | 73.6% | 94.6% |
| ビジネス変革に既に取り組んでいる | 29.5% | 24.8% | 50.1% | 73.0% |
3〜5年後にDXの段階のどこかを目指すと答えた事業者に、デジタル技術を使ううえでの課題を尋ねた設問では、「デジタル技術の活用に関する目標が明確でない」37.7%が1位で、「情報システムの構築・改修の費用負担が大きい」36.1%、「自社のビジネスに合ったデジタル技術を見つけられない」33.3%が続きました。業務別の導入状況では、「導入しており成果が出ている」がいちばん高いのは「会計・財務・経営」の27.5%でした。
帝国データバンクの調査(34.7%)と数字が違うのはなぜか
帝国データバンク広島支店の2026年3月の調査では、生成AIを業務で「活用している」広島県の企業は34.7%(236社のうち82社)でした。県の調査の23.8%とは10.9ポイント違います(差は当サイトの引き算です)。どちらかが間違っているのではなく、尋ねた相手と数え方が違います。
| 項目 | 広島県の実態調査 | 帝国データバンク広島支店 |
|---|---|---|
| 活用している割合 | 23.8% | 34.7% |
| 尋ねた相手 | 県内の企業・団体を規模ごとに無作為に選んだ5,000者 | 中国地方に本社を置く企業1,715社 |
| 答えた数 | 1,129者(この設問は1,094者) | 661社(広島県は236社) |
| 数え方 | 県内の規模ごとの事業者の割合に合わせて補正した推定値 | 答えた企業の数をそのまま割った値 |
| 調査の時期 | 2025年9月 | 2026年3月 |
ここからは当サイトの読み方です。県の調査は、10人未満の事業者が県内の82.4%を占めることに合わせて補正しているため、小さな事業者の答えが全体の数字を強く引っ張ります。調査の時期も半年ほど違います。経営者が自社の位置を見るときは、全体の割合より、同じ規模の行(10人未満なら21.1%)を見るほうが比べやすいはずです。広島県内の企業の数字の読み方は広島県の生成AI活用の記事にまとめています。
「効果がイメージできない」は、どの順番でほどくか
ここからは調査の外の話で、当サイトの考えです。効果がイメージできないのは、生成AIの性能の話というより、自社のどの仕事に何時間かかっているかが書き出されていないことが多いからだと考えます。順番は次の4つです。
- 1週間に繰り返している事務を書き出す=見積の下書き、メールの返信、日報や議事録のまとめ、問い合わせの回答など、毎週かならずある仕事を並べる。だれがやっているかも書く
- 1回にかかる時間と回数を書く=1回何分か、週に何回かを、だいたいで構わないので書く。掛け算すると、ひと月にかかっている時間が出る
- 1つだけ選んで、AIに下書きを作らせてみる=いちばん回数の多い仕事を1つ選び、下書きはAI、確認と仕上げは人、と分けて1〜2週間試す。お客様の個人情報や取引先の機密はAIに入れない、と先に決めておく
- 戻った時間を記録する=試す前と後で、1回にかかる時間を同じやり方で測る。数字が出れば、次にどの仕事を渡すかを数字で決められる
書き出しや記録の表づくり、メールや見積の下書きはAIに任せられます。経営者と担当の方が一から書き起こしていた時間が戻ります。ただし、どれだけ戻るかは仕事の中身と量で変わり、試してみるまで言い切れるものではありません。1日の仕事のどこにAIが入るかの例は1日の物語に、何時間戻りそうかの目安は何時間診断(5問)で確かめられます。
この記事を読むときの注意
- 対象=広島県内の企業・団体を、従業員規模(10人未満、10人以上100人未満、100人以上)ごとに無作為に選んだ5,000者に、郵送とインターネットで尋ねた調査です。調査期間は2025年9月1日から9月30日、回答は1,129者(回答率22.6%)です
- 補正した推定値=全体の割合は、県内の規模ごとの事業者の割合(総務省統計局の事業所母集団データベース)に合わせて補正した推定値です。資料の注記どおり、設問ごとに補正していて、表に書かれた回答数(生成AIの活用は1,094者、課題は671者)は実際に答えた数です
- 課題の設問=「使っていない事業者の課題」は、生成AIを活用していない事業者(検討中・関心はある・予定はない)だけに尋ねた複数回答です。DXの課題(37.7%など)は、3〜5年後にDXの段階のどこかを目指すと答えた事業者だけに尋ねた複数回答です
- 当サイトの計算=前年度からの上昇12.7ポイント、帝国データバンクの調査との差10.9ポイント、「4倍を超えて」「3倍を超えて」は、資料の数字から当サイトが計算したものです
- 比べ方=帝国データバンク広島支店の調査とは、尋ねた相手・数え方・時期が違います。2つの数字の差を、半年での伸びとは読まないでください
- 新しい版=2026年10月15日に探した範囲では、令和8年度の調査結果は見つかりませんでした。新しい版が出ると数字が変わります
- この記事が扱わないこと=県のDX施策や支援制度の良し悪し、特定の生成AIの製品の比較は扱っていません
- 図表について=資料の図表は複製せず、数値を引用して記事用に作り直しています
出典
- 広島県商工労働局経営革新課「令和7年度DXに関する実態調査の結果について」(令和7年12月・PDF)
- 広島県商工労働局経営革新課「令和7年度DXに関する実態調査の結果について」概要(令和7年12月17日・PDF)
- 帝国データバンク広島支店「中国地方・生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年6月5日発表)
- 広島県の生成AI活用の記事(当サイト)
※本記事は2026年10月15日時点の公表情報にもとづいています。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
生成AIを使っていない事業者の6割が「具体的な効果がイメージできない」と答えていました。繰り返している事務を書き出して1つ試すなら、メールや見積の下書き、かかった時間の記録の表づくりはAIに任せられます。
任せられる仕事の一覧は支援内容にまとめています。
ご相談について
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