コラム
広島県の法人企業景気予測調査(2026年7〜9月期)|景況判断BSIは▲0.8で下げ幅が縮小、10〜12月は3.8の上昇超の見通し。人手の不足感は32.8、中小企業の経常利益は26.8%減の見込み(財務省中国財務局)と、人を増やさずに事務を回す考え方
財務省中国財務局の「法人企業景気予測調査(中国地方)令和8年7〜9月期調査」(2026年9月11日公表)の附属資料「広島県の概要」によると、広島県の企業の景況判断BSIは全産業で▲0.8でした。前期(4〜6月期)の▲7.6から下げ幅が縮まり、10〜12月期は3.8の「上昇」超に転じる見通しですが、令和9年1〜3月期は▲2.5と再び「下降」超の見通しです。人手の不足感を表す従業員数判断BSIは32.8の「不足気味」超で、中小企業の令和8年度の経常利益は前年度より26.8%減る見込みです。
この記事では、広島県の景況判断BSIを規模別・業種別に並べ、人手の不足感と売上・利益・設備投資の見込みを整理したうえで、日銀短観やTDB景気DIとのちがい、人を増やさずに事務を回す考え方を書きます。景気の先行きの予想や、投資・借入の判断はこの記事では扱いません。
人を増やす前に、毎日の事務の一部をAIへ渡す選択肢を記事の最後にまとめています →
広島県の景況判断BSIはいくつだったのか
2026年7〜9月期の広島県の景況判断BSIは、全産業・全規模で▲0.8です。前期の▲7.6から6.8ポイント上がり、「下降」と答えた会社の割合と「上昇」と答えた会社の割合がほぼ同じになりました。規模別では、中堅企業だけが3.2の「上昇」超です。
| 広島県・全産業 | 4〜6月期 (前回) | 7〜9月期 (今回) | 10〜12月期 (見通し) | 令和9年1〜3月期 (見通し) |
|---|---|---|---|---|
| 全規模 | ▲7.6 | ▲0.8 | 3.8 | ▲2.5 |
| 大企業 | ▲10.5 | ▲5.3 | 8.8 | 5.3 |
| 中堅企業 | ▲6.6 | 3.2 | 0.0 | ▲12.9 |
| 中小企業 | ▲6.7 | ▲0.8 | 3.3 | ▲0.8 |
単位は%ポイント。BSIは「前の期と比べて景況が上昇した」と答えた会社の割合から「下降した」と答えた会社の割合を引いた数字です。回答は景況240社。規模は資本金で分け、大企業は10億円以上、中堅企業は1億円以上10億円未満、中小企業は1千万円以上1億円未満です。
製造業と非製造業で見ると、どちらが上向いたのか
全規模で見ると、製造業は▲13.8から1.1へ「上昇」超に転じ、非製造業は▲3.5から▲2.0へ下げ幅が縮まりました。見通しでは、製造業は10〜12月期4.4・1〜3月期5.5と上昇超が続き、非製造業は10〜12月期3.4のあと1〜3月期▲7.4へ下がる見通しです。
| 広島県 | 回答数 | 4〜6月期 | 7〜9月期 | 10〜12月期 (見通し) | 1〜3月期 (見通し) |
|---|---|---|---|---|---|
| 製造業・全規模 | 91社 | ▲13.8 | 1.1 | 4.4 | 5.5 |
| 非製造業・全規模 | 149社 | ▲3.5 | ▲2.0 | 3.4 | ▲7.4 |
| 大企業・製造業 | 22社 | ▲21.7 | 4.5 | 22.7 | 18.2 |
| 大企業・非製造業 | 35社 | ▲2.9 | ▲11.4 | 0.0 | ▲2.9 |
| 中堅企業・製造業 | 30社 | ▲13.3 | ▲3.3 | 3.3 | 0.0 |
| 中堅企業・非製造業 | 32社 | 0.0 | 9.4 | ▲3.1 | ▲25.0 |
| 中小企業・製造業 | 39社 | ▲9.8 | 2.6 | ▲5.1 | 2.6 |
| 中小企業・非製造業 | 82社 | ▲5.1 | ▲2.4 | 7.3 | ▲2.4 |
回答数は資料の回収状況の表の数です。1つの区分が22〜39社の場合、数社の答えが変わるだけでBSIは大きく動きます。中堅企業・非製造業の1〜3月期▲25.0のような大きな値も、回答数とあわせて読んでください。広島県について、これより細かい業種別の数字は資料にありません。
人手はどれくらい足りないのか
9月末の広島県の従業員数判断BSIは32.8で、「不足気味」と答えた会社が「過剰気味」と答えた会社より32.8ポイント多い状態です。規模別では中堅企業が41.9で最も高く、前回(6月末)の34.4から上がりました。見通しでは、12月末29.4、令和9年3月末26.9と不足気味の幅は縮まるものの、どの規模でも「不足気味」が上回ったままです。
| 広島県・全産業 | 6月末 (前回) | 9月末 (今回) | 12月末 (見通し) | 令和9年3月末 (見通し) |
|---|---|---|---|---|
| 全規模 | 33.2 | 32.8 | 29.4 | 26.9 |
| 大企業 | 24.6 | 22.8 | 21.1 | 21.1 |
| 中堅企業 | 34.4 | 41.9 | 33.9 | 27.4 |
| 中小企業 | 36.8 | 32.8 | 31.1 | 29.4 |
単位は%ポイント。従業員数は臨時・パートを含み、回答は238社です。同じ調査の中国地方全体(回答672社)では9月末が37.2、中小企業は44.2でした。
中国地方全体の附帯調査では、人手不足が会社経営に与える影響(3つまで選ぶ・回答557社)として、「業務負担・勤務時間の増加」が製造業62.4%・非製造業56.2%で最も多く挙がっています。次いで「賃上げに伴う人件費の上昇」(製造業48.1%・非製造業49.9%)でした。広島県だけの集計はありません。広島県の人手不足は人手不足の割合の記事でも読んでいます。
売上・利益・設備投資は、どう見込まれているのか
令和8年度の広島県の企業は、売上高3.4%増、経常利益0.6%増を見込んでいます。ただし規模で分けると、中小企業の経常利益は26.8%減(製造業は35.0%減)の見込みで、売上高も前年度と同じ水準(▲0.0%)です。設備投資は全体で39.5%増ですが、中小企業は0.1%増にとどまります。
| 広島県・令和8年度(前年度比) | 売上高 | 経常利益 | 設備投資 |
|---|---|---|---|
| 全規模 | 3.4% | 0.6% | 39.5% |
| 製造業 | 2.5% | ▲12.5% | 22.8% |
| 非製造業 | 4.2% | 16.2% | 47.2% |
| 大企業 | 2.0% | 1.5% | 41.6% |
| 中堅企業 | 6.2% | 2.7% | 29.8% |
| 中小企業 | ▲0.0% | ▲26.8% | 0.1% |
| 中小・製造業 | ▲2.7% | ▲35.0% | ▲36.4% |
| 中小・非製造業 | 4.7% | 4.8% | 39.6% |
売上高・経常利益は電気・ガス・水道業と金融業・保険業を除いた回答168社、設備投資は回答180社(土地の購入額を除き、ソフトウェアへの投資を含む)です。どれも令和8年度の実績見込みで、決算の実績ではありません。
中国地方全体と比べると、広島県はどうか
中国地方全体(広島県を含む5県・回答682社)の景況判断BSIは▲2.6で、広島県の▲0.8のほうが下げ幅は小さくなっています。人手の不足感は中国地方全体の37.2に対して広島県は32.8です。経常利益の見込みは、中国地方全体の▲5.0%に対して広島県は0.6%と増益ですが、中小企業に限ると中国地方全体の▲6.4%に対して広島県は▲26.8%と大きく下回ります。
| 広島県 | 中国地方全体 | |
|---|---|---|
| 景況判断BSI(7〜9月期) | ▲0.8 | ▲2.6 |
| 景況判断BSI(10〜12月期見通し) | 3.8 | 2.9 |
| 従業員数判断BSI(9月末) | 32.8 | 37.2 |
| 経常利益(令和8年度見込み) | 0.6% | ▲5.0% |
| 経常利益・中小企業 | ▲26.8% | ▲6.4% |
日銀短観やTDB景気DIとは何がちがうのか
広島県の景気を表す数字は、この調査のほかに日本銀行広島支店の短観と、帝国データバンクの景気DIがあります。それぞれ日銀短観の記事と景気DIの記事で読んでいます。物差しがちがうので、数字をそのまま並べて比べることはできません。
| 法人企業景気予測調査(この記事) | 日銀短観 | TDB景気DI | |
|---|---|---|---|
| 調べる機関 | 財務省・内閣府(中国地方は中国財務局) | 日本銀行 | 帝国データバンク |
| 頻度 | 3か月ごと | 3か月ごと | 毎月 |
| 聞き方 | 前の期と比べて「上昇」か「下降」か | いまの業況が「良い」か「悪い」か | 景気を7段階で判断 |
| 分かれ目 | 0 | 0 | 50 |
| 対象 | 資本金1千万円以上の法人 | 資本金2千万円以上の企業 | 規模を問わず回答した企業 |
法人企業景気予測調査のBSIは「前の期より良くなったか」を聞くので、悪い状態が続いていても、前の期より悪化した会社が減れば数字は上がります。今回の▲0.8は「景気が良い」という意味ではなく、「前の期より悪くなったと答える会社が減った」という意味です。
人を増やさずに事務を回すには
ここからは調査の外の話で、当サイトの考えです。広島県の会社は3割以上で人手が足りないと答え、中国地方では人手不足の影響として「業務負担・勤務時間の増加」が最も多く挙がりました。そのうえで中小企業は利益が減る見込みで、人を1人増やす判断は簡単ではありません。採用の前に、いまいる人と経営者が抱えている事務の量を減らす順番があります。
- 1週間の事務を書き出す=見積書、請求書、日報のまとめ、メールの返信、問い合わせの一次対応など、繰り返している事務を種類ごとに書き出す
- 人がやるものと、下書きでよいものに分ける=お客様との約束や金額の判断は人が持つ。文章の下書き、数字の書き写し、資料の整理は下書きでよい側に置く
- 下書きの側を1つだけ選んで試す=いちばん時間がかかっているものを1つ選び、AIに下書きを作らせて、人が確かめてから使う
- 月に1回、数字を同じ形で残す=この調査が3か月ごとに同じ形で出るように、自社の売上・受注・残業の時間も毎月同じ表に残すと、景気の数字と並べて見られる
下書きと書き写しをAIに任せると、その時間が人と経営者に戻ります。ただし、どれだけ戻るかは会社の業種や事務の量で変わり、試してみるまで言い切れるものではありません。採用や人件費、資金繰りの判断は、税理士や社会保険労務士などの専門家と一緒に行ってください。
この記事を読むときの注意
- BSIの意味=景況判断BSIは、前の期と比べて「上昇」と答えた会社の割合から「下降」と答えた会社の割合を引いた数字です。売上の伸び率や景気の水準そのものではありません
- 対象の会社=資本金1千万円以上の法人が対象です(電気・ガス・水道業と金融業・保険業は1億円以上)。個人事業や資本金1千万円未満の会社は含まれません
- 回答した会社=広島県の数字は、調査対象259社のうち回答した240社(回収率92.7%)の答えです。県内のすべての会社の平均ではありません
- 区分ごとの回答数=規模と業種で分けると1区分が22〜82社になり、少数の会社の答えで大きく動きます
- 見込みの数字=売上高・経常利益・設備投資は、調査時点(令和8年8月15日)の令和8年度の実績見込みで、決算の実績ではありません
- 中国地方の数字=人手不足の影響の割合は中国地方全体の集計で、広島県だけの数字ではありません
- 新しい版=この調査は3か月ごとに公表されます。2026年10月19日に確かめた範囲では、最新は令和8年7〜9月期調査(9月11日公表)です。次の10〜12月期調査が出ると数字が変わります
- この記事が扱わないこと=景気の先行きの予想、投資・借入・資金繰りの判断は扱っていません。資金繰りのご心配は、金融機関や税理士、商工会議所・商工会などにご相談ください
- 図表について=資料の図表は複製せず、数値を引用して記事用に作り直しています
出典
- 財務省中国財務局「法人企業景気予測調査(令和8年7〜9月期調査)【中国地方の概要】(附 広島県の概要)」(2026年9月11日公表・PDF)
- 財務省財務総合政策研究所「法人企業景気予測調査」
- 日銀短観の広島県分の記事(当サイト)
- 広島県の景気DIの記事(当サイト)
- 広島県の人手不足の割合の記事(当サイト)
※本記事は2026年10月19日時点の公表情報にもとづいています。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
広島県の会社の3割以上が人手不足と答え、中小企業は利益が減る見込みです。人を増やす前に、見積書やメールの下書き、毎月の数字の書き写しをAIに任せると、その時間が人と経営者に戻ります。
任せられる仕事の一覧は支援内容にまとめています。
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