合同会社Trash-B

NEWS

お知らせ

コラム

広島県の価格転嫁率は43.6%、コストが100円上がっても価格に反映できるのは43.6円|「全く転嫁できない」11.7%・サービスは33.3%(帝国データバンク広島支店の2026年7月調査)と、値上げの話し合いの前に数字をそろえる考え方

帝国データバンク広島支店の「広島県・価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」(2026年9月18日発表)によると、広島県の企業の価格転嫁率は43.6%でした。仕入れや人件費などのコストが100円上がったとき、販売価格やサービス料金に反映できているのは43.6円、という意味です。「全く価格転嫁できない」と答えた企業は11.7%(223社中26社)でした。

価格転嫁は、上がったコストの分を自社の販売価格に上乗せすることです。この記事では、県内の転嫁の進み具合を規模別と業種別に読み、値上げに動くまでの期間と、仕入れ先・販売先との話し合いの状況を確かめたうえで、10人未満の会社が話し合いの前にそろえておける数字を整理します。値上げの進め方や、お願いの文面そのものは扱いません。

値上げを決める前の一歩として、「何に、いくらかかるようになったか」を請求書や見積の記録からAIに表にさせる選択肢を記事の最後にまとめています →

広島県の価格転嫁率はいくらか

43.6%です。全国の39.9%より3.7ポイント高い水準ですが(差は当サイトの引き算です)、上がったコストの半分以上を自社で受け止めている計算になります。

コストの上昇分を、どの程度価格に転嫁できているか広島県全国
10割(すべて転嫁できている)4.0%(9社)3.4%
8割以上16.1%(36社)13.0%
5割以上8割未満20.2%(45社)17.5%
2割以上5割未満18.4%(41社)17.4%
2割未満22.0%(49社)24.5%
上の5つの合計(多少なりとも価格転嫁できている)80.7%(180社)75.8%
全く価格転嫁できない11.7%(26社)11.9%
コストは上昇したが、価格転嫁するつもりはない0.0%(0社)1.8%
コストは上昇していない0.9%(2社)1.4%
分からない6.7%(15社)9.2%
価格転嫁率43.6%39.9%

「多少なりとも価格転嫁できている」は80.7%で、8割の会社が何らかの値上げをしています。ただし内訳でいちばん多いのは「2割未満」の22.0%です。「2割未満」と「全く価格転嫁できない」を合わせると75社で、回答した223社の33.6%にあたります(当サイトの足し算と割り算です)。およそ3社に1社は、上がったコストの2割も価格に反映できていません。すべて転嫁できている会社は4.0%でした。

「コストは上昇していない」は2社だけです。コストが上がっていること自体は、ほぼすべての会社に共通しています。

価格転嫁率は上がってきたのか

ほぼ横ばいです。2022年12月の調査開始から8回の調査で、5割を超えたことは一度もありません。

調査の時期広島県の価格転嫁率
2022年12月41.8%
2023年7月42.9%
2024年2月40.9%
2024年7月46.0%
2025年2月40.6%
2025年7月42.6%
2026年2月42.8%
2026年7月43.6%

今回は前回(2026年2月の42.8%)から0.8ポイントの上昇です。いちばん高かったのは2024年7月の46.0%で、それ以降は40%台の前半が続いています。レポートは、価格転嫁が「実施したかどうか」を確かめる段階から、「必要なコストを十分に反映できたか」「価格の見直しを続けられるか」を問う段階に入った、とまとめています。

会社の規模や業種で、どのくらい差があるか

規模による差より、業種による差のほうが大きく出ています。価格転嫁率は卸売の53.9%からサービスの33.3%まで、20ポイントあまりの開きがあります。

規模多少なりとも価格転嫁できている全く価格転嫁できない価格転嫁率回答社数
大企業85.3%8.8%46.4%34社
中小企業79.9%12.2%43.1%189社
うち小規模企業75.4%13.1%43.6%61社

小規模企業は「多少なりとも価格転嫁できている」が75.4%で、大企業より約10ポイント低くなっています。一方で価格転嫁率は43.6%で、県全体と同じです。値上げに踏み出せた小規模企業は、踏み出せた分についてはほかの規模と同じくらい反映できている、と読めます。

業種別は、回答が10社以上あった5業種に、9社の運輸・倉庫を加えて並べます。

業種価格転嫁率多少なりとも価格転嫁できている全く価格転嫁できない回答社数
卸売53.9%84.9%9.4%53社
小売48.1%87.0%4.3%23社
建設46.4%85.7%3.6%28社
製造43.0%85.5%10.9%55社
サービス33.3%68.9%22.2%45社
運輸・倉庫30.0%100.0%0.0%9社

サービスは価格転嫁率が33.3%で、「全く価格転嫁できない」が22.2%(45社中10社)と、ほかの業種の2倍以上です。運輸・倉庫は9社すべてが「多少なりとも転嫁できている」と答えていますが、そのうち8社は5割未満の転嫁にとどまり、価格転嫁率は30.0%です。値上げは通っても、上がった分には届いていない形です。ただし9社の数字なので、1社の回答で大きく動きます。

仕入れた物をそのまま売る卸売や小売は、仕入れ値の上昇を示しやすい業種です。サービスのように費用の大半が人件費の業種は、何がいくら上がったかを相手に示しにくい面があります。レポートに載っている企業の声にも、「素材価格の上昇分はすべて転嫁しているが、人件費や輸送代の転嫁は難しい」(鉄鋼卸)という言葉があります。

値上げに動くまでの期間は短くなったのか

「短くなった」が30.0%で、「長くなった」の8.1%を21.9ポイント上回りました。今回の調査で新しく尋ねた項目です。

価格転嫁を実施するまでの期間広島県全国
短くなった30.0%(67社)26.3%
変わらない38.6%(86社)38.4%
長くなった8.1%(18社)7.6%
今回が初めての価格転嫁だった1.8%(4社)2.5%
分からない21.5%(48社)25.3%

コストが上がったと気づいてから価格を見直すまでは、早くなる方向にあります。それでも価格転嫁率は40%台の前半のままです。レポートは、早く動いても仕入れ価格の上がり方のほうが速く、顧客離れを心配して値上げの幅を抑えている可能性を挙げています。企業の声には「仕入れ先から都度値上げ連絡が来るが、販売先へ何度も価格転嫁を依頼しづらい」(化学品卸)、「再々価格を変えることはできない」(飲食店)とあります。

レポートのまとめは、価格転嫁は一度の値上げで終わるものではなく、コストの変動を定期的に確かめて価格を見直し続ける経営の手順として定着させる必要がある、としています。

仕入れ先や販売先との価格交渉は、どのくらい行われているか

ここだけは半年前の調査(2026年2月・回答249社)の数字です。7月の調査にはこの設問がありません。2月の時点で、販売先と「価格交渉をした」は55.8%、仕入れ先とは51.4%でした。

2026年2月調査広島県うち小規模企業全国
直近6か月で、仕入れ価格が上がった68.7%71.8%71.5%
直近6か月で、販売価格が上がった47.4%53.5%45.8%
仕入れ先と価格交渉をした51.4%40.8%52.4%
仕入れ先と価格交渉をしなかった37.8%50.7%35.8%
販売先と価格交渉をした55.8%50.7%56.2%
販売先と価格交渉をしなかった30.9%36.6%30.5%

仕入れ価格が上がった会社は68.7%、販売価格が上がった会社は47.4%で、21.3ポイントの差があります。仕入れは上がったのに売値は変えていない会社が、一定の数あるということです。

小規模企業は、仕入れ先と「価格交渉をしなかった」が50.7%で半数を超えます。販売先とも36.6%が交渉をしていません。レポートは、規模が小さい企業ほど価格交渉が十分に行えていない、と書いています。業種別では、サービスは仕入れ価格が上がった会社が77.6%あるのに、販売価格が上がった会社は38.8%でした。

値上げの話し合いの前に、会社でそろえておけるものは何か

ここからはレポートの外の話で、当サイトの考えです。10人未満の会社では、仕入れ値や外注費が上がったことを経営者は肌で分かっていても、「どの品目が、いつから、いくら上がったか」を一覧にしたものは無い、ということが珍しくありません。請求書は月ごとに綴じてあり、前の年と並べて見る機会がないからです。

価格をどうするかを決める前に、次の3つは先にそろえておけます。

  • 仕入れ・外注費の上がり方の表=主な品目や外注先ごとに、1年前、半年前、今月の単価を請求書や見積から拾って並べたもの
  • 売値を最後に見直した日=自社の商品・サービス、または得意先ごとに、今の価格をいつ決めたかの一覧
  • 見直しの時期=年に何回、どの月に上の2つを確かめるか。決めておけば、気づいたときにあわてて動く形から離れられます

1つ目の表づくりは、手でやると半日仕事になります。過去の請求書や見積のPDFをAIに渡し、品目ごとの単価の移り変わりを表のたたき台にさせる。担当者が元の書類と突き合わせて直す。この進め方なら、拾い出す作業の大半をAIに渡せて、その時間が経営者に戻ります。出来上がった表を共有の場所に置いておけば、次の見直しのときは追記だけで済みます。

なお、数字をそろえれば値上げが通る、という話ではありません。価格をいくらにするか、相手にどう伝えるか、取引に関する法令の扱いは、商工会議所や公的な相談窓口、専門家と決めることです。当サイトが扱うのは、判断の材料になる数字を日々の書類から拾ってまとめるところまでです。人件費の側の動きは広島県の賃上げ2026に、物価の動きは広島市の消費者物価指数にまとめています。

この記事を読むときの注意

  • 対象=帝国データバンクが2026年7月17日〜31日に行った調査のうち、広島県に本社を置く企業の分です。対象516社のうち回答した223社(回答率43.2%)の数字で、県内のすべての企業の実態ではありません
  • 価格転嫁率=レポートの注記によると、各選択肢の中央の値に回答した社数を掛けて足し、全体の回答社数で割ったものです(「価格転嫁するつもりはない」「コストは上昇していない」「分からない」は除く)。実際の金額を集計した数字ではありません
  • 2つの調査=価格交渉と、仕入れ価格・販売価格の見出しだけは2026年2月13日〜28日の調査(対象582社のうち回答249社)の数字です。回答した会社が7月の調査と同じとは限りません
  • 規模の区分=レポートによると、中小企業基本法の区分に、全国の売上高の順位を加えて分けています。小規模企業は、製造業その他で従業員20人以下、卸売・小売・サービスで5人以下です
  • 業種別=回答が10社以上あった5業種と、9社の運輸・倉庫を載せています。不動産(6社・価格転嫁率22.0%)など回答の少ない業種は、1社で割合が大きく動くため表に入れていません
  • 当サイトの計算=全国との3.7ポイントの差、「2割未満」と「全く価格転嫁できない」の合計75社(33.6%)、「およそ3社に1社」、運輸・倉庫の「9社のうち8社」は、レポートの表の数字から当サイトが計算したものです
  • 転載について=レポートは転載を禁じているため、図表は複製せず、数値を引用して記事用に表を作り直しています。規模別・業種別の表は一部の列だけを載せています

出典

※本記事は2026年10月7日時点の公表情報にもとづいています。

この記事に出てきた仕事、AIに任せると

仕入れ価格が上がった会社は68.7%、販売価格が上がった会社は47.4%でした。請求書や見積から単価を集め、品目ごとの表にまとめ、半年ごとに同じ表を見て確かめる。この3つは、価格をどうするかを決める前から始められます。

任せられる仕事の一覧は支援内容にまとめています。

ご相談について

「どの作業なら任せられるのか、まだ分からない」という段階で、まったく問題ありません。オンラインは全国どこでも対応します。対面をご希望の場合は広島県内へお伺いします。竹原市に拠点があるため、竹原・三原・東広島は特にお伺いしやすい地域です。

30分の無料相談を申し込む

更新のお知らせは公式LINEとブログで

まずは30分、話すだけで大丈夫です

資料も準備もいりません。いまの仕事のことを、そのまま話してください。
合わなければ、そのまま終わって構いません。営業のお電話もしません。

30分の相談を申し込む