コラム
広島県の就業構造基本調査(令和4年)|働いていない95.6万人のうち「働きたい」は16.2万人、女性の有業率は全年齢で上がった
令和4年の就業構造基本調査によると、広島県で15歳以上のうちふだん仕事をしていない人(無業者)は95万6,500人で、そのうち「収入になる仕事をしたい」と答えた就業希望者は16万2,100人(16.9%)でした。5年前より1万1,100人減っています。
一方で、女性の有業率(15歳以上のうち仕事をしている人の割合)は、すべての年齢階級で上がりました。前日の記事では、労働力調査から「働いていなかった人が働く側へ移り、就業者の数を保ってきた」と書きましたが、年齢や男女の内訳がなく、誰が移ったのかは言い切れませんでした。5年に1度のこの調査で、その中身を見ていきます。
働きたい人の数が減っていくなかで、短い時間で入った人でも回る形へ事務を移しておく方法を記事の最後にまとめています →
広島県で働いている人、働いていない人は何人か
令和4年10月1日時点で、仕事をしている人(有業者)は145万3,200人、していない人(無業者)は95万6,500人です。5年前(平成29年)と男女別に並べます。
| 男女 | 有業者 | 5年前との差 | 無業者 | 5年前との差 | 有業率 | 5年前との差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 総数 | 1,453.2千人 | ▲5.3千人 | 956.5千人 | ▲38.4千人 | 60.3% | +0.9P |
| 男性 | 794.2千人 | ▲16.5千人 | 361.3千人 | ▲4.8千人 | 68.7% | ▲0.2P |
| 女性 | 659.0千人 | +11.2千人 | 595.3千人 | ▲33.5千人 | 52.5% | +1.8P |
15歳以上の人口は5年で4万3,700人減りましたが、有業者の減りは5,300人にとどまりました。男性の有業者は1万6,500人減り、女性は1万1,200人ふえています。有業率は全国で19位(男性15位、女性24位)です。
用語を補っておきます。この調査の有業者は、ふだん収入を伴う仕事をしている人を数えたものです。前日の記事の労働力調査にある「就業者」とは数え方も調べた時期も違うため、二つの数字を並べて足したり引いたりはしません。
働く側に加わったのは誰か
有業率が上がったのは、主に女性と60代の人です。男女・年齢階級別の有業率を5年前と比べます。
| 年齢 | 女性 令和4年 | 女性 平成29年 | 女性の差 | 男性の差 |
|---|---|---|---|---|
| 15〜19歳 | 21.1% | 16.0% | +5.1P | +1.9P |
| 20〜24歳 | 72.2% | 71.5% | +0.7P | ▲2.2P |
| 25〜29歳 | 82.1% | 78.3% | +3.8P | +3.0P |
| 30〜34歳 | 75.3% | 72.0% | +3.3P | ▲3.4P |
| 35〜39歳 | 80.2% | 75.3% | +4.9P | ▲1.0P |
| 40〜44歳 | 80.8% | 79.4% | +1.4P | +0.8P |
| 45〜49歳 | 82.7% | 81.8% | +0.9P | +0.1P |
| 50〜54歳 | 82.2% | 79.4% | +2.8P | ▲0.7P |
| 55〜59歳 | 76.8% | 70.8% | +6.0P | ▲0.3P |
| 60〜64歳 | 63.7% | 55.7% | +8.0P | +3.6P |
| 65〜69歳 | 39.2% | 36.3% | +2.9P | +7.2P |
| 70〜74歳 | 26.9% | 24.6% | +2.3P | +4.1P |
| 75歳以上 | 7.7% | 6.6% | +1.1P | +0.5P |
女性は13の年齢階級すべてで上がり、いちばん大きいのは60〜64歳の8.0ポイント、次が55〜59歳の6.0ポイントでした。男性は30〜34歳が3.4ポイント下がるなど、下がった年齢階級が5つあります。男性でいちばん上がったのは65〜69歳の7.2ポイントで、60代以降の上がり方が目立ちます。
子育て中の女性にも変化が出ています。
| 項目 | 令和4年 | 平成29年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 育児をしている女性のうち、仕事をしている人の割合 | 72.2% | 65.0% | +7.2P |
| 同じく、仕事が主な人の割合 | 43.5% | 35.8% | +7.7P |
| 過去5年に「出産・育児のため」前の仕事を辞めた人 | 18.0千人 | 25.2千人 | ▲7.2千人 |
| 仕事をするつもりがない理由が「出産・育児のため」の人 | 9.6千人 | 16.9千人 | ▲7.3千人 |
育児をしている女性のうち仕事をしている人は72.2%で、5年前より7.2ポイント上がりました。出産・育児を理由に前の仕事を辞めた人は7,200人減っています。なぜ変わったのかまでは、この調査からは言いません。
もうひとつ見ておきたいのが働き方です。女性の有業者65万9,000人のうち、家事や通学などのかたわらに仕事をしている人(調査の言葉で「仕事が従な者」)は21万5,900人で、およそ3人に1人にあたります。
働いていない人のうち、働きたい人はどれくらいいるか
16万2,100人で、5年前より減りました。
| 区分 | 令和4年 | 平成29年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 無業者 | 956.5千人 | 994.9千人 | ▲38.4千人 |
| うち就業希望者 | 162.1千人 | 173.2千人 | ▲11.1千人 |
| そのうち実際に仕事を探している人(求職者) | 64.2千人 | 68.2千人 | ▲4.0千人 |
| うち仕事をするつもりがない人 | 790.1千人 | 814.6千人 | ▲24.5千人 |
| そのうち理由が「高齢のため」 | 427.0千人 | 407.7千人 | +19.3千人 |
働きたい人16万2,100人のうち、女性が10万700人、男性が6万1,500人です。女性は30〜34歳(1万900人)と45〜49歳(1万400人)が多く、男性は20〜24歳(7,800人)に次いで70〜74歳(7,000人)、65〜69歳(6,900人)が続きます。女性の35〜44歳は5年前の2万6,000人から1万8,600人へ減りました。
そのうえで、実際に仕事を探している人は6万4,200人です。仕事をするつもりがない79万100人のうち、理由が「高齢のため」の人は42万7,000人で、5年前より1万9,300人ふえ、仕事をするつもりがない人の54.0%(5年前は50.0%)を占めます。働いていない人の中から、これから働き始める人の数は、5年前より小さくなっています。
いま働いている人の「もっと働きたい」はふえている
こちらは、5年前よりふえました。
| 項目(農林業以外で働く人) | 令和4年 | 平成29年との差 |
|---|---|---|
| 副業がある人 | 62.5千人(4.5%) | +10.1千人(+0.7P) |
| 正規の職員の副業者比率 | 2.3% | +1.0P |
| 非正規の職員の副業者比率 | 7.2% | +1.2P |
| 追加就業希望者 | 98.5千人(7.1%) | +17.4千人(+1.2P) |
| 正規の職員の追加就業希望者比率 | 7.1% | +2.1P |
| 非正規の職員の追加就業希望者比率 | 7.9% | +0.4P |
追加就業希望者は、いまの仕事を続けながら、ほかの仕事もしたいと思っている人です。9万8,500人で、平成19年の6万6,100人から調査のたびにふえてきました。5年前との比較でいちばん上がったのは、正規の職員(2.1ポイント)でした。
数だけを並べると、仕事を探している無業者の6万4,200人より、いま働いていて「ほかの仕事もしたい」人の9万8,500人のほうが多くなっています(前者は無業者、後者は有業者の中の数で、重なりはありません)。ほかに、本業がフリーランスの人が3万9,200人(有業者の2.7%)います。
この数字を自社に置き換えると
ここまでを3行にまとめます。広島県で働く人の数を支えたのは、女性と60代だった。働いていない人のうち働きたい人は16万2,100人で、5年前より減った。その一方で、いま働いている人の「ほかの仕事もしたい」は9万8,500人までふえた。
この数字から見えてくるのは、これから職場に加わる人の多くが、家事や子育て、ほかの仕事と時間を分け合いながら働く人だということです。女性の有業者の3人に1人は、すでにその形で働いています。朝から夕方まで毎日いる人を前提に組んだ段取りのままだと、せっかく来てくれた人が短い時間では仕事に入りきれないことがあります。
そこで決めておきたいのが、週に数日、数時間だけ入る人でも回る形に、事務を分けておくことです。担当者の頭の中にある段取りを文章に残す、書類や返信の下書きのように決まった形の事務はAIに任せる、日々のやりとりは記録にまとめて次の人へ渡せるようにする、の3つに分けられます。渡したぶんの時間は経営者に戻り、文章にした段取りは会社に残ります。
念のため申し添えますと、AIを入れれば人手が足りるようになる、という話ではありません。採用や労働時間、副業の扱いは法令と就業規則の範囲で決めるもので、個別のご事情は社会保険労務士などの専門家の領域です。ここで扱っているのは、そのまわりにある事務の部分だけです。
出典
※本記事は2026年9月14日時点の公表情報にもとづいています。数字はすべて、総務省統計局の令和4年就業構造基本調査(令和4年10月1日現在・5年ごとに実施)を広島県がとりまとめた公表値で、単位の千人は千人未満を四捨五入しているため、内訳の合計が総数と一致しないことがあります。全国順位は広島県の「結果の要約」によります。女性の35〜44歳の就業希望者数は、公表された5歳階級の値を弊社で合計した参考値です。副業・追加就業希望者の数と比率は、有業者のうち本業が「農業、林業」と「分類不能の産業」以外の人(非農林業従事者)が対象です。就業構造基本調査と労働力調査は、調査の方法や定義が異なります。次回の調査は令和9年です。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
これから加わる人の多くは、家事や子育て、ほかの仕事と時間を分け合いながら働く人です。週に数日、数時間だけ入る人でも回る形にするなら、手をつける順番は、段取りを文章に残す、決まった形の書類や下書きを任せる、日々のやりとりを記録にまとめて渡す、の3つです。
任せられる仕事の全体は支援内容の一覧に、任せたときにひと月で戻る時間の試算(約28時間)はトップページにまとめています。
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