コラム
広島の障害者雇用率は2.54%、7月からの法定2.7%に届かず|40〜100人未満の企業は47.1%が1人も雇用していない
広島県内の民間企業に雇用されている障害者は、令和7年6月1日現在で14,291.0人と過去最高になりました。一方で実雇用率は2.54%で、令和8年7月に引き上げられた法定雇用率2.7%には届いていません。
規模別に見ると、2.7%を上回っているのは500人以上の2区分だけです。いちばん小さい40〜100人未満の区分では、1,579社のうち743社(47.1%)が障害者を1人も雇用していない状態でした。広島労働局の集計から、規模別・未達成の中身・業種別の順に見ていきます。
雇用を考えるときに最初に要る「どの仕事を、どの手順で渡すか」を文章にする作業は、AIが下書きを手伝える書き物です。その方法を記事の最後にまとめています →
広島の障害者雇用率は何%か
民間企業全体で2.54%です。前年と同じ値で、全国の2.41%は上回っています。法定雇用率を達成した企業の割合は48.9%で、前年の49.1%から0.2ポイント下がり、半数を切ったままです。
雇用されている障害者の数は前年より394.0人(2.8%)ふえました。内訳は身体障害者6,859.0人(前年比2.1%増)、知的障害者3,979.5人(同0.1%減)、精神障害者3,452.5人(同8.0%増)で、伸びの中心は精神障害者です。人数に「.5」が付くのは、重度の方を2人、短時間の方を0.5人と数える決まりがあるためで、誤植ではありません。
7月から何が変わったか
民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に上がり、障害者を雇用しなければならない企業の範囲も、従業員40.0人以上から37.5人以上に広がりました。いずれも令和8年7月からです。
雇用しなければならない人数は、算定の基礎となる労働者数に法定雇用率を掛け、1未満の端数を切り捨てて出します。0.2ポイントの差がどこで効くかを、いくつかの人数で計算すると次のとおりです。
| 算定の基礎となる労働者数 | 2.5%(6月まで) | 2.7%(7月から) |
|---|---|---|
| 37.5人 | 対象外 | 1人 |
| 40人 | 1人 | 1人 |
| 75人 | 1人 | 2人 |
| 100人 | 2人 | 2人 |
| 112人 | 2人 | 3人 |
| 120人 | 3人 | 3人 |
2人目が必要になる境目は80人から75人へ、3人目は120人から112人へ前にずれました。75〜79人や112〜119人の企業は、人数を変えていなくても必要な人数が1人ふえています。ここでいう人数は算定の基礎となる労働者数で、短時間の方の数え方などにより、実際の従業員数とは一致しないことがあります。
なお、報告は毎年6月1日現在で行うため、令和8年6月1日現在の分はまだ2.5%で数えます。2.7%が物差しになる最初の報告は、令和9年6月1日現在の分になる計算です。
会社の大きさで雇用率はどう違うか
規模が大きいほど高く、小さいほど低い並びです。全国と並べると次のとおりです。
| 企業の規模 | 企業数 | 実雇用率 | 達成企業の割合 | 全国の実雇用率 |
|---|---|---|---|---|
| 40〜100人未満 | 1,579社 | 1.89% | 46.7% | 1.94% |
| 100〜300人未満 | 811社 | 2.19% | 52.8% | 2.18% |
| 300〜500人未満 | 164社 | 2.32% | 44.5% | 2.27% |
| 500〜1,000人未満 | 103社 | 2.90% | 49.5% | 2.41% |
| 1,000人以上 | 61社 | 3.01% | 65.6% | 2.69% |
| 計 | 2,718社 | 2.54% | 48.9% | 2.41% |
広島は全体でも規模別でもおおむね全国を上回っていますが、40〜100人未満だけは全国の1.94%を下回りました。しかもこの区分は前年の1.98%から0.09ポイント下がっています。1,000人以上が2.96%から3.01%に上がったのとは向きが逆です。
県全体の算定の基礎となる労働者数562,245.5人に2.7%を掛けると約15,181人で、いまの14,291.0人との差は約890人になります。企業ごとの端数の切り捨てや、新たに対象になった37.5〜40人の企業を含まない単純な計算なので、目安として読んでください。
達成できていない企業は、何人足りないのか
ほとんどが1人です。未達成の1,389社を、足りない人数と規模で分けると次のようになります。
| 企業の規模 | 未達成の企業 | 不足が0.5人か1人 | 1人も雇用していない |
|---|---|---|---|
| 40〜100人未満 | 842社 | 734社 | 743社 |
| 100〜300人未満 | 383社 | 141社 | 76社 |
| 300〜500人未満 | 91社 | 14社 | 0社 |
| 500〜1,000人未満 | 52社 | 8社 | 0社 |
| 1,000人以上 | 21社 | 7社 | 0社 |
| 計 | 1,389社 | 904社 | 819社 |
障害者を1人も雇用していない819社のうち、743社(90.7%)が40〜100人未満の企業です。300人以上の企業には1社もありません。40〜100人未満の未達成企業では87.2%が「あと0.5人か1人」の不足で、足りない人数そのものは小さい。それでも最初の1人がいない企業が、この区分に集まっています。
読み方を変えると、小さな企業にとっての課題は「何人雇うか」より「最初の1人をどう迎えるか」にある、ということです。
業種で見るとどこが低いか
いちばん低いのは金融・保険、不動産・物品賃貸の1.73%で、宿泊・飲食サービスの1.91%、建設の1.94%が続きます。主な業種は次のとおりです。
| 産業 | 実雇用率 | 達成企業の割合 |
|---|---|---|
| 生活関連サービス・娯楽 | 2.86% | 52.1% |
| 医療・福祉 | 2.82% | 54.9% |
| 教育・学習支援 | 2.74% | 29.5% |
| 製造 | 2.69% | 52.7% |
| 情報通信 | 2.60% | 41.1% |
| 卸売・小売 | 2.58% | 41.8% |
| サービス(他に分類されないもの) | 2.38% | 52.8% |
| 運輸・郵便 | 2.20% | 48.6% |
| 建設 | 1.94% | 48.5% |
| 宿泊・飲食サービス | 1.91% | 39.7% |
| 金融・保険、不動産・物品賃貸 | 1.73% | 29.9% |
2.7%を上回っているのは生活関連サービス・娯楽、医療・福祉、教育・学習支援の3つだけです。製造の2.69%は、6月までの2.5%では上回っていましたが、新しい2.7%にはわずかに届きません。
地元の数字もひとつ添えておきます。公的機関の集計では、竹原市の機関は3.12%、竹原市教育委員会は5.98%で、いずれも法定雇用率を達成していました。
最初の1人を迎える前に、何を用意するか
数字を出したうえで申し添えますと、この記事は「AIで障害者雇用の義務を満たせる」という話ではありません。雇用の義務は人を雇うことでしか満たせませんし、採用や職場での配慮の中身は、事業所を管轄するハローワークや専門の支援機関に相談しながら決めるものです。厚生労働省は、雇入れから定着までの相談を原則無料で受けられる「障害者雇用相談援助事業」も案内しています。
そのうえで、小さな企業で最初の1人を迎えるときにつまずきやすいのは、「どの仕事をお願いするか」が言葉になっていないことだと考えています。仕事が経営者や特定の社員の頭の中にしかないと、切り出して渡すことができません。
いまの仕事を洗い出して一覧にする作業、1つずつの手順を文章にして残す作業、毎年6月1日現在の雇用状況の報告のような定型の書類。この3つはいずれも読んで書く仕事で、AIが下書きを手伝える部分です。手順が文章になっていれば、迎える人にも、教える社員にも同じものを渡せます。渡したぶんの時間は経営者に戻り、文章にした手順は会社に残ります。
出典
- 広島労働局「令和7年 障害者雇用状況の集計結果(令和7年6月1日現在)」(PDF)
- 広島労働局「高年齢者・障害者の雇用に関する各種情報」
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」(PDF)
※本記事は2026年9月10日時点の公表情報にもとづいています。雇用障害者数・実雇用率・達成企業の割合・未達成企業数は、広島労働局が広島県内に本社のある民間企業2,718社(40.0人以上規模)について集計した令和7年6月1日現在の公表値で、当時の法定雇用率2.5%を基準にしています。必要な人数の表、40〜100人未満に占める割合(47.1%・90.7%)、2.7%で計算した差(約890人)は、公表値をもとに弊社で計算した参考値です。障害者の数は、重度の身体障害者・知的障害者を2人、短時間の方などを0.5人と数える法律上のカウントによるもので、実際の人数とは一致しません。自社の雇用義務や算定方法、採用の進め方については、事業所を管轄するハローワークへご確認ください。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
最初の1人を迎える準備は、いまの仕事を洗い出すところから始まります。仕事を一覧にする、1つずつの手順を文章にして残す、毎年の報告のような定型の書類を整える。どれも読んで書く仕事なので、この記事の内容と地続きなのは次の3つです。
任せられる仕事の全体は支援内容の一覧に、任せたときにひと月で戻る時間の試算(約28時間)はトップページにまとめています。
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