コラム
広島県の空き家は231,400戸で過去最多|住宅・土地統計調査(令和5年)、竹原市の空き家率は31.1%
広島県の空き家は、令和5年の住宅・土地統計調査で231,400戸と過去最多になりました。総住宅数に占める割合(空き家率)は15.8%で、平成30年の15.1%から0.7ポイント上がっています。全国の空き家率13.8%より2ポイント高い水準です。
竹原市は総住宅数14,190戸のうち空き家が4,420戸で、空き家率は31.1%です。数字が公表されている県内の市町の中では、江田島市の31.2%に次いで2番目に高く、県平均のおよそ2倍にあたります。県が公表している昭和58年からの市町別の数字を並べると、竹原市の空き家がいつ、どの段階で増えたのかまで追えます。
5年ごとの数字を40年分並べ直すと見えてくることは、自社の台帳でも同じです。昔の数字を同じ形に並べ直す手間を人に張りつけたままにしない方法を記事の最後にまとめています →
広島県の空き家は何戸あるのか
231,400戸です。平成30年の215,600戸から15,800戸増えました。空き家は中身によって4つに分けて集計されていて、内訳は次のとおりです。
| 空き家の種類 | 令和5年 | 平成30年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 102,600戸 | 89,000戸 | +13,600戸 |
| 売却用の空き家 | 6,200戸 | 5,900戸 | +300戸 |
| 二次的住宅(別荘など) | 7,800戸 | 6,600戸 | +1,200戸 |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 114,700戸 | 114,200戸 | +500戸 |
| 空き家の合計 | 231,400戸 | 215,600戸 | +15,800戸 |
5年間の増加15,800戸のうち、13,600戸が賃貸用の空き家です(内訳の合計は、100戸単位の丸めのため総数と一致しません)。県全体の増加は、ほとんどが「借り手を待っている部屋」の増加でした。
一方で「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は、貸しにも売りにも出ておらず、別荘でもない家です。転勤や入院で長く留守にしている家、取り壊す予定の家などがここに入ります。県全体では500戸の微増にとどまり、総住宅数に占める割合は8.0%から7.8%へ下がりました。
空き家は一戸建とアパート、どちらに多いのか
数はほぼ半々ですが、中身がまったく違います。
| 建て方 | 空き家数 | いちばん多い種類 | その割合 |
|---|---|---|---|
| 一戸建 | 108,600戸 | 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 84.6%(91,900戸) |
| 共同住宅 | 110,100戸 | 賃貸用の空き家 | 80.0%(88,100戸) |
共同住宅の空き家は8割が入居者募集中の部屋です。一戸建の空き家は8割強が、貸しにも売りにも出ていない家です。同じ「空き家」という言葉でも、アパートの空室と、住む人がいなくなった一戸建は別の話として読む必要があります。
今住んでいる家とは別に空き家を持っている世帯は、県内に45,000世帯あります。これは、主世帯全体の3.7%です。持っている空き家の59.6%は、貸しも売りもしていない家でした。
竹原市の空き家はいつから増えたのか
竹原市の数字は、昭和58年から5年ごとに県が公表しています。空き家の数と空き家率を並べると、増え方は一定ではありません。
| 調査年 | 総住宅数 | 人が住んでいる住宅 | 空き家 | 空き家率 |
|---|---|---|---|---|
| 昭和58年(1983) | 12,550戸 | 10,960戸 | 1,410戸 | 11.2% |
| 昭和63年(1988) | 12,660戸 | 11,130戸 | 1,440戸 | 11.4% |
| 平成5年(1993) | 12,960戸 | 11,310戸 | 1,510戸 | 11.7% |
| 平成10年(1998) | 13,550戸 | 11,270戸 | 2,050戸 | 15.1% |
| 平成15年(2003) | 14,180戸 | 11,510戸 | 2,570戸 | 18.1% |
| 平成20年(2008) | 13,690戸 | 11,120戸 | 2,510戸 | 18.3% |
| 平成25年(2013) | 13,170戸 | 10,640戸 | 2,520戸 | 19.1% |
| 平成30年(2018) | 13,890戸 | 10,460戸 | 3,400戸 | 24.5% |
| 令和5年(2023) | 14,190戸 | 9,620戸 | 4,420戸 | 31.1% |
空き家率は当社が「空き家÷総住宅数」で計算したものです(令和5年の31.1%は県の公表値と一致します)。
増え方には2つの段差があります。平成5年から平成15年の10年間で1,510戸から2,570戸へ増え、その後の10年はほぼ横ばいでした。そして平成25年から令和5年の10年間で2,520戸から4,420戸へ、再び大きく増えています。直近の10年だけで1,900戸です。
もうひとつ目を引くのは、人が住んでいる住宅の数です。昭和58年の10,960戸に対して令和5年は9,620戸で、40年前より1,340戸少ない水準です。その間に総住宅数は1,640戸増えています。住む家は減り、家の数は増えたので、その差が空き家として残っています。県内の人口の動きは人口減少の記事にまとめています。
竹原市の空き家の中身はどうなっているのか
令和5年の竹原市の空き家4,420戸を種類別に見ると、県全体とは形が違います。
| 空き家の種類 | 竹原市 | 平成30年からの増減 |
|---|---|---|
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 2,790戸 | +500戸 |
| 賃貸用の空き家 | 1,440戸 | +530戸 |
| 売却用の空き家 | 110戸 | +50戸 |
| 二次的住宅(別荘など) | 90戸 | ▲40戸 |
県全体では、貸しにも売りにも出ていない空き家は5年間で500戸しか増えていません。竹原市1市だけで、同じ500戸が増えています。総住宅数に占める割合は19.7%で、市の住宅のおよそ5戸に1戸が、貸しにも売りにも出ていない空き家です。
県内のほかの市町と比べるとどうか
空き家率の高い市町を並べると、島しょ部と中山間地域の市町が上位に来ます。
| 市町 | 総住宅数 | 空き家 | 空き家率 | 貸し・売りに出ていない空き家の率 |
|---|---|---|---|---|
| 江田島市 | 13,720戸 | 4,280戸 | 31.2% | 20.4% |
| 竹原市 | 14,190戸 | 4,420戸 | 31.1% | 19.7% |
| 北広島町 | 9,740戸 | 2,740戸 | 28.1% | 20.5% |
| 庄原市 | 18,270戸 | 5,110戸 | 28.0% | 20.0% |
| 呉市 | 122,990戸 | 30,350戸 | 24.7% | 16.1% |
| 三原市 | 48,050戸 | 10,470戸 | 21.8% | 12.3% |
| 東広島市 | 106,720戸 | 13,970戸 | 13.1% | 6.3% |
| 広島市 | 628,800戸 | 73,700戸 | 11.7% | 3.5% |
| 広島県 | 1,465,500戸 | 231,400戸 | 15.8% | 7.8% |
広島市の空き家率11.7%のうち、貸し・売りに出ていない空き家は3.5%にとどまり、空き家の多くは賃貸用です。竹原市は空き家率が広島市の2.7倍、貸し・売りに出ていない空き家の率では5.6倍になります。同じ県の中で、空き家の量だけでなく中身も違います。なお人口15,000人未満の4町(坂町・安芸太田町・大崎上島町・神石高原町)は、市町別の数字が公表されていません。
土地の値段の側から見た県内の動きは、基準地価の記事にまとめています。竹原市は基準地3地点とも下落でした。
自社に置き換えると
この統計が役に立つのは、5年ごとの数字を40年分、同じ形で並べられるからです。平成30年と令和5年だけを比べると「5年で1,020戸増えた」で終わりますが、並べると「横ばいの10年のあとに、また増え始めた」という形が見えます。
自社の数字にも同じことが言えます。去年と今年の2点だけでは、いまが増え始めなのか、ずっと続いている流れなのかが分かりません。ところが古い数字は、帳簿の様式が途中で変わっていたり、紙のまま残っていたりして、並べ直すだけで手が止まります。
もうひとつ、空き家を持っている世帯は県内に45,000世帯あります。経営者自身が実家や店舗の空き家を抱えていると、見回りの記録、管理を頼んだ業者とのやりとり、固定資産税の通知の保管といった細かな事務が、本業の合間に積み上がります。どちらも、同じ形に揃えて残していく仕事で、ここが渡せるところです。
この統計を読むときの注意
- 標本調査の推計値=住宅・土地統計調査は全戸を数える調査ではなく、抽出した住宅から推計した数字です。県の数字は100戸単位、市町の数字は10戸単位で丸められているため、内訳を足しても合計と一致しないことがあります。小さな差は誤差の範囲として読んでください
- 5年ごとの調査=最新は令和5年10月1日時点です。次の調査は令和10年に行われます
- 空き家率の一部は当社の計算=竹原市の年ごとの空き家率は「空き家÷総住宅数」で当社が計算しました。令和5年の市町別の率は県の公表値です
- 「空き家」には入居者募集中の部屋も入る=アパートの空室も空き家に数えます。管理されていない家だけを指す言葉ではありません
- 公表されていない町がある=人口15,000人未満の4町は市町別の数字がありません。表に出ていないのは、少ないからではありません
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
空き家の数字は、40年分を同じ形に並べて初めて「いつ増えたか」が見えました。自社で手をつける順番は、様式の違う昔の台帳や紙の記録を同じ列の表に揃えさせる、揃えた表から増え方が変わった年だけを拾わせる、実家や店舗の空き家の見回りや業者とのやりとりを日付つきで残させる、の3つです。
拾った数字を毎回同じ表の形に直す例は数字の集計と表づくりに、公表資料から必要な行だけを出どころつきで拾う進め方は調べもののまとめにまとめています。
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