コラム
広島県の基準地価(令和8年)|上がった地点は214、下がった地点は168。竹原市は3地点とも下落
広島県が2026年9月16日に公表した令和8年の地価調査で、県内421地点の基準地の価格が出ました。前年の価格と比べられる413地点のうち、上がったのが214地点、横ばいが31地点、下がったのが168地点です。上がった地点と下がった地点が、同じ年の同じ県の中に、ほぼ同じ数だけあります。
竹原市の3地点は、住宅地2地点が1.0%と0.8%の下落、商業地1地点が0.5%の下落で、3地点とも下がりました。この統計は地点ごとに前年価格・当年価格・変動率が1件ずつ公表されているので、県全体をひとつの数字にまとめた話ではなく、自分の町の地点だけを見に行けます。県の公表資料から、どこが上がってどこが下がったのかを地点の数で整理します。
「県全体では上がっている」と「うちの町は下がっている」が同時に成り立つ数字を、自社の売上や客数でも毎回手で並べ直しているなら、その集計と表づくりを人に張りつけたままにしない方法を記事の最後にまとめています →
広島県の地価は上がったのか、下がったのか
どちらも起きています。前年と比べられる413地点のうち、上がったのが214地点、下がったのが168地点で、その差は46地点しかありません。用途別に分けると次のようになります。
| 用途 | 地点数 | 上昇 | 横ばい | 下落 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅地 | 278 | 128 | 22 | 128 |
| 商業地 | 120 | 76 | 7 | 37 |
| 工業地 | 14 | 10 | 2 | 2 |
| 宅地見込地 | 1 | 0 | 0 | 1 |
| 合計 | 413 | 214 | 31 | 168 |
住宅地は、上がった地点と下がった地点が128ずつでちょうど同数です。商業地は上がった地点が76に対して下がった地点が37で、およそ2対1。工業地は14地点と数が少ないものの、10地点が上昇しています。用途によって、上がり下がりの比率がはっきり違います。
数の内訳は次のとおりです。421地点のうち宅地等が417地点、林地が4地点。宅地等のうち4地点は今年新しく設けられた地点で前年の価格がないため、変動率が出ていません。差し引いた413地点が上の表です。林地4地点はいずれも前年と同額でした。
竹原市の3地点はどうだったか
竹原市には基準地が3地点あります。いずれも下落で、下げ幅は0.5%から1.0%でした。
| 基準地 | 用途 | 令和7年 | 令和8年 | 変動率 |
|---|---|---|---|---|
| 忠海中町1丁目 | 住宅地 | 29,700円 | 29,400円 | ▲1.0% |
| 吉名町 | 住宅地 | 23,800円 | 23,600円 | ▲0.8% |
| 中央4丁目 | 商業地 | 55,400円 | 55,100円 | ▲0.5% |
価格はいずれも1平方メートル当たりです。金額としては1平方メートルで200円から300円の下げですが、3地点が3地点とも同じ向きに動いているのがこの市の形です。竹原市の所得が県平均を下回り続けていることは市民所得の記事に、事業所の規模の内訳は事業所データの記事にまとめています。
上がった地域と、下がった地域はどこか
市町・区の単位で見ると、向きが分かれていることがはっきりします。下がった地点がひとつもなかったのが8、上がった地点がひとつもなかったのが12ありました。
| 区分 | 市町・区 |
|---|---|
| 下落した地点がゼロ(8) | 広島市中区・東区・南区・西区・安佐南区、大竹市、府中町、海田町 |
| 上昇した地点がゼロ(12) | 竹原市、三原市、府中市、三次市、庄原市、安芸高田市、江田島市、安芸太田町、北広島町、大崎上島町、世羅町、神石高原町 |
表の「府中町」は安芸郡府中町、「府中市」は備後の府中市で、別の自治体です。広島市の8区のうち5区では、下がった地点が1つもありません。一方で7市5町では、上がった地点が1つもありません。地点数の多い市町を並べると、その差がそのまま平均にも出ます。
| 市町 | 地点数 | 上昇 | 下落 | 平均変動率 |
|---|---|---|---|---|
| 広島市8区(合計) | 113 | 95 | 13 | +2.55% |
| 福山市 | 62 | 46 | 11 | +2.23% |
| 廿日市市 | 21 | 14 | 6 | +2.01% |
| 東広島市 | 30 | 16 | 11 | +0.70% |
| 尾道市 | 26 | 9 | 15 | ▲0.53% |
| 竹原市 | 3 | 0 | 3 | ▲0.77% |
| 呉市 | 39 | 11 | 24 | ▲1.16% |
| 三原市 | 15 | 0 | 11 | ▲1.26% |
| 江田島市 | 7 | 0 | 7 | ▲2.74% |
平均変動率は、県が公表している地点ごとの変動率を当社が単純に平均したものです。県が用途別に公表している平均変動率とは計算の仕方が違うので、そのまま置き換えないでください。広島市の8区をまとめると113地点で平均2.55%の上昇、広島市以外の300地点は平均0.27%の上昇でした。県の外側をひとつの数字にすると、ほぼ横ばいに見えます。その中身が、上の表のように分かれています。
東広島市が広島市以外で数少ない上昇側にいるのは、人口の動きと重なります。広島県内で人口が増えているのは東広島市だけで、その内訳は人口減少の記事にまとめています。
いちばん上がった地点と、いちばん下がった地点
413地点の中で、変動率の幅は15.9%の上昇から4.4%の下落までひらいています。
| 地点 | 用途 | 令和8年価格 | 変動率 |
|---|---|---|---|
| 広島市南区 京橋町 | 商業地 | 2,260,000円 | +15.9% |
| 広島市南区 西荒神町 | 商業地 | 931,000円 | +11.5% |
| 廿日市市 宮島町 | 商業地 | 160,000円 | +7.4% |
| 江田島市 沖美町 | 住宅地 | 12,900円 | ▲4.4% |
| 広島市佐伯区 杉並台 | 住宅地 | 11,000円 | ▲4.3% |
| 府中市 上下町 | 商業地 | 17,800円 | ▲4.3% |
県内で最も高い基準地は広島市中区の本通で、1平方メートル当たり3,530,000円、前年から2.0%の上昇でした。最も下げた江田島市沖美町の12,900円と比べると、同じ県の中で273倍の開きがあります。なお最も下げた地点でも、下げ幅そのものは4.4%です。上がっている地点のほうが、動きは大きく出ています。
広島市佐伯区の杉並台が下落側に入っているとおり、上がっている市の中にも下がっている地点はあります。市町の平均は、その市町の全部の地点が同じ向きだという意味ではありません。
地価調査と地価公示は何が違うのか
今回の数字は「地価調査」で、春に発表される「地価公示」とは別の調査です。県の資料に両者の比較表が載っています。
| 項目 | 地価調査 | 地価公示 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 国土利用計画法 | 地価公示法 |
| 調査主体 | 都道府県知事 | 国土交通省土地鑑定委員会 |
| 評価時点 | 毎年7月1日 | 毎年1月1日 |
| 公表時点 | 毎年9月下旬 | 毎年3月下旬 |
| 地点の名称 | 基準地 | 標準地 |
| 価格の名称 | 標準価格 | 公示価格 |
| 対象範囲 | 県内全域(23全市町) | 都市計画区域内のみ(14市6町) |
| 広島県内の地点数 | 421地点 | 639地点 |
使い分けの目安はこうなります。地価公示は都市計画区域の中だけなので、区域外の町は載りません。地価調査は県内23市町すべてが対象なので、そこで初めて数字が出る土地があります。竹原市の吉名町のような地点を見たいときは、地価調査のほうです。
相続税や贈与税で使う「路線価」は、さらに別の価格です。国税庁が毎年1月1日時点で定めるもので、令和8年分は令和8年1月1日から12月31日までの相続・贈与に適用されます。目的が違うので、同じ土地でも地価調査・地価公示・路線価の金額は一致しません。どれを見ているのかを先に確かめてから比べてください。
自社に置き換えると
この統計の形は、そのまま自社の数字にあてはまります。413地点をひとつの平均にまとめると「おおむね横ばい」ですが、中身は214の上昇と168の下落でした。平均は、逆向きの動きを打ち消してしまいます。
売上を月ごとの合計だけで見ていると、同じことが起きます。全体は前年並みでも、伸びている商品と落ちている商品が両方あって、合計の中で相殺されている。店舗別・商品別・客層別に分けて初めて、どこに手を打つかが決まります。
分けて並べる作業そのものは難しくありません。手が止まるのは、毎月同じ形に直す手間のほうです。台帳から数字を拾って、去年の同じ月を横に置いて、増えた順に並べる。この形を一度つくって毎月同じように出させるところが、渡せる仕事です。
この統計を読むときの注意
- 変動率は同じ地点どうしの比較=前年の同じ基準地と比べた数字です。地点ごとに条件が違うので、市町どうしの単純な比較には向きません
- 平均変動率は当社の計算=この記事の市町別平均は、公表されている地点ごとの変動率を単純平均したものです。県が公表している平均変動率とは計算方法が違います
- 基準日は7月1日=令和8年7月1日時点の価格です。それ以降の動きは含まれません
- 地点数の差に注意=竹原市は3地点、福山市は62地点です。地点が少ない市町ほど、1地点の動きが平均を大きく動かします
- 売買価格そのものではない=不動産鑑定士の鑑定評価をもとに知事が判定した「正常価格」で、実際の取引価格とは別のものです
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
地価調査のように、全体の平均と自分のところの数字が逆を向くことは、自社の売上でも起きます。手をつける順番は、公表資料から自分の市町や業種の行だけを抜き出させる、それを前年と並べた同じ形の表に毎回整えさせる、増減の大きかったところだけを短い文にして毎月見る形にする、の3つです。
公表資料から必要な行だけを出どころつきで拾う進め方は調べもののまとめに、拾った数字を毎月同じ表の形に直す例は数字の集計と表づくりにまとめています。
ご相談について
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