コラム
広島県の最低賃金は2026年10月11日から1,141円へ|答申から読み取れること
広島県の最低賃金は、2026年10月11日から時間額1,141円になります。10月10日までの1,085円から56円の引き上げで、引き上げ率は5.2%。広島地方最低賃金審議会が2026年8月17日に広島労働局長へ答申しました。
この記事では、答申文に実際に書かれている内容を確認したうえで、発効の日までに広島の経営者が手をつけられることを整理します。
引き上げで増える人件費の代わりに、毎日の事務をAIへ渡す選択肢を記事の最後にまとめています →
決まったこと
| 改定後の額 | 時間額 1,141円 |
|---|---|
| 10月10日までの額 | 時間額 1,085円(2025年11月1日発効) |
| 引き上げ額 | 56円(5.2%) |
| 効力発生の日 | 2026年10月11日 |
| 答申日 | 2026年8月17日(第573回 広島地方最低賃金審議会) |
| 諮問日 | 2026年7月7日 |
この記事を公開した2026年8月24日の時点では答申の段階でしたが、2026年9月12日に確認したところ、広島労働局の「広島県の最低賃金について」のページに、時間額1,141円・効力発生日 令和8年10月11日として掲載されていました。同じページには「令和8年10月10日までは1,085円です」と併記されています。最新の表示は下の出典からご確認ください。
見落としやすい一点:手当は算入されません
答申文には、この最低賃金に算入しないものとして精皆勤手当・通勤手当・家族手当が明記されています。時給がぎりぎりの方について、これらの手当を足して1,141円に届いている、という計算は成り立ちません。基本の時給そのもので判定します。
答申文には、広島の審議会からの要望も書かれている
答申文は金額だけを記した文書ではありません。広島地方最低賃金審議会は、あわせて国への要望を出しています。県内の経営者に関係が深いのは、次の2点です。
- 「賃金引上げ原資を確保することが難しい企業も少なくないことが再確認されており、本年度の広島県最低賃金の改正が、県内の中小企業・小規模事業者に与える影響は昨年に続いて大きい」
- 「発効日の在り方については、事業者が対応すべき準備期間の考え方を具体的に示すこと」
ほかにも、審議に使う県別データの提供、目安額の根拠と導き方の明示、価格転嫁に向けた取組の強化などが挙げられています。
金額を決めた側も、原資の確保と準備期間が県内事業者の負担になると見ている。答申文からはそう読み取れます。
物価の側も動いています。広島市の消費者物価指数は2026年7月に総合102.2、前年同月比1.8%の上昇で、上昇は57か月続いています。中身は広島市の消費者物価指数(2026年7月)の記事にまとめました。賃金の引き上げと、仕入や経費の上がり方は同じ時期に重なっています。
広島の最低賃金1,141円はいつから適用されるか
2026年10月11日からです。広島労働局のページにも効力発生日 令和8年10月11日と掲載されており、10月10日までは1,085円、その翌日から1,141円に変わります。賃金計算期間の途中で発効する場合の取り扱いは、所轄の労働基準監督署へご確認ください。
福山市・呉市など、市町によって額は変わるか
変わりません。広島労働局は「広島県最低賃金は、広島県内で働くすべての労働者に適用されます。年齢・性別・雇用形態[常用・臨時・パート・アルバイト等]の別を問いません」と示しています。広島市・福山市・呉市・東広島市・竹原市など、市町ごとに額が分かれることはなく、県内で働く方には同じ額が適用されます。
ただし産業によっては、地域別最低賃金より高い額の「特定最低賃金」が別に定められている場合があります。自社が対象にあたるかどうかは、所轄の労働基準監督署または広島労働局 労働基準部 賃金室(電話 082-221-9244)へご確認ください。
ここからは、発効の日までに手をつけられることを3つに分けます。
1. 時給の棚卸し
いま1,141円を下回っている方が何人いるかを数えます。前述のとおり、手当は算入しません。パート・アルバイトだけでなく、月給制の方も時間額に換算して確認します。
2. 増加額を自社の数字で出す
下の欄を埋めると、10月からいくら増えるかが見えます。
| ① 1,141円を下回る人数 | 人 |
|---|---|
| ② 1人あたりの引き上げ幅(1,141円 − 現在の時給) | 円 |
| ③ 1か月あたりの労働時間 | 時間 |
| ④ 1か月の増加額(① × ② × ③) | 円 |
この④が、10月11日以降に毎月増える金額です。年額にするなら12倍します。数字が出てから、どこで手当てするかを考える順番をおすすめします。
③の労働時間や、自社の水準が県内でどのあたりかを確かめたいときは、広島県の平均賃金と労働時間の実額をあわせてご覧ください。県の毎月勤労統計調査による令和7年平均で、常用労働者1人あたり月343,242円・総実労働時間137.5時間、事業所規模5〜29人にしぼると277,542円という数字が出ています。
3. 事務にかかっている時間を測る
1週間でかまいません。メール返信・見積書・請求書・議事録・日報に、それぞれ何分使っているかを記録します。感覚ではなく実測です。ここが次の話につながります。
「原資」を、事務の時間から見直す
賃上げの原資は、売上を増やすか、かかっている手間を減らすかでしか作れません。売上のほうは一朝一夕にはいきません。もう一方の、事務にかかっている時間の話をします。
弊社がこれまでに支援してきた7社(眼鏡店・歯科・内科・スクール・住宅リフォーム)のなかで実測できているのは、メール返信が1時間から15分になった例です。1日1時間かかっていた作業が15分になれば、1日あたり45分が戻ります。
先ほど測った時間に、この考え方を当てはめてみてください。
| ⑤ 1日に事務へ使っている時間 | 分 |
|---|---|
| ⑥ そのうちAIに任せられそうな割合 | % |
| ⑦ 1か月で戻る時間(⑤ × ⑥ × 稼働日数) | 時間 |
AIに任せやすいのは、毎回だいたい同じ形で、判断より作業のほうが多い仕事です。具体的には次のあたりです。
- メールの返信(朝、下書きが揃っている状態に)
- 見積書・請求書(数字を入れるだけの形に)
- 議事録(録音を渡すと、議事録と宿題リストに)
- 日報・記録(話すだけで貯まる形に)
- 夜間・休日の一次対応(公式LINEでの自動応答)
戻った時間を何に使うかは、経営者ご自身にしか決められません。人手が足りない現場に回すのか、営業に回すのか、あるいは休むのか。そこを決めるための材料が、④と⑦の2つの数字です。
まとめ
- 広島県の最低賃金は、2026年10月11日から時間額1,141円(10月10日までは1,085円・56円増)
- 答申は2026年8月17日。広島労働局のページに効力発生日 令和8年10月11日として掲載(2026年9月12日確認)
- 精皆勤手当・通勤手当・家族手当は算入されない
- 答申文には「原資の確保が難しい企業も少なくない」「事業者の準備期間の考え方を示すこと」という要望が併記されている
- 発効は2026年10月11日。増加額と、事務にかかっている時間の2つを測るところから
出典
- 広島労働局「令和8年度 広島最低賃金審議会議事録等」第573回(令和8年8月17日)答申文(写)・部会長報告(写)
- 広島労働局「広島県の最低賃金について」(10月10日まで1,085円・10月11日から1,141円)
※本記事は2026年8月24日時点の公表情報にもとづいています。最新の確定内容は広島労働局のページでご確認ください。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
時間額で56円の引き上げです。人を増やす前に、毎日の事務をAIへ渡す選択肢を挟むなら、この記事の内容と地続きなのは次の仕事です。
任せられる仕事の全体は支援内容の一覧に、任せたときにひと月で戻る時間の試算(約28時間)はトップページにまとめています。
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