コラム
広島県の有効求人倍率1.33倍、事務職は0.40倍|職種で真逆になる人手不足
広島県の有効求人倍率は1.33倍です。求人のほうが求職より多い状態が続いています。ところが職業別に並べると、建設・採掘の6.30倍から事務従事者の0.40倍まで開いています。広島労働局が公表している令和8年6月分の数字です。
この記事では、県全体の倍率と職業別の倍率を並べます。そのうえで、募集して人が来る仕事と来ない仕事をどう分けて考えるかを整理します。
募集しても人が来ない仕事の代わりに、事務をAIへ渡す選択肢を記事の最後にまとめています →
県全体は1.33倍。2か月続けて下がっている
広島労働局「管内の雇用情勢(令和8年6月分)」の主な数字です。
| 指標 | 令和8年6月 | 前月・前年からの動き |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(季節調整値) | 1.33倍 | 前月より0.03ポイント低下(2か月連続) |
| 就業地別の有効求人倍率(同) | 1.31倍 | 前月より0.01ポイント上昇 |
| 正社員有効求人倍率(原数値) | 1.16倍 | 前年同月より0.04ポイント低下 |
| 新規求人倍率(季節調整値) | 2.34倍 | 前月より0.09ポイント低下 |
| 有効求人数 | 56,183人 | 前月比 -2.2%(2か月連続の減少) |
| 有効求職者数 | 42,191人 | 前月比 -0.1% |
1.33倍は全国13位、中国地方では3位にあたります。労働局の基調判断は「県内の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移しているが、持ち直しの動きが弱まっている。物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要がある」です。
求人倍率は、ハローワークに出された求人と求職の数から見た数字です。会社の側が人の過不足をどう感じているかは、日本銀行広島支店の短観で見られます。2026年6月調査の雇用人員判断D.I.は、広島県の全産業で▲29(「不足」と答えた会社が「過剰」と答えた会社より29ポイント多い)、3か月後の見込みは▲36でした。詳しくは日銀短観の広島県分(2026年6月調査)にまとめています。数え方も時期も違うため、2つの数字を並べて足し引きはしません。
職業別に見ると、6.30倍と0.40倍が同居している
ここからは職業別の数字です。県全体の1.33倍とは集計の範囲が違い、こちらは常用(パートを除く)の原数値になります。倍率の高い順に並べました。
| 職業(大分類) | 有効求人 | 有効求職 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 保安 | 1,446人 | 198人 | 7.30倍 |
| 建設・採掘 | 2,676人 | 425人 | 6.30倍 |
| 輸送・機械運転 | 2,932人 | 1,066人 | 2.75倍 |
| 生産工程 | 5,232人 | 1,923人 | 2.72倍 |
| サービス職業 | 4,753人 | 2,052人 | 2.32倍 |
| 専門的・技術的 | 8,776人 | 3,994人 | 2.20倍 |
| 販売 | 2,885人 | 1,467人 | 1.97倍 |
| 管理的 | 113人 | 72人 | 1.57倍 |
| 農林漁業 | 210人 | 164人 | 1.28倍 |
| 運搬・清掃・包装等 | 1,749人 | 2,539人 | 0.69倍 |
| 事務 | 2,669人 | 6,622人 | 0.40倍 |
| 職業計 | 33,441人 | 25,091人 | 1.33倍 |
1倍を大きく下回っているのは事務だけです。0.40倍は、求人1件に対して求職者が約2.5人いる状態にあたります。逆に保安は求職者1人に対して求人が7.3件、建設・採掘は6.3件です。同じ県内で、職業によって18倍の開きがあります。
介護サービスは3.04倍、自動車運転は3.09倍でした。現場を担う職種が軒並み高い一方で、事務だけが反対側にあります。
事務のなかでも、一般事務は0.30倍
事務従事者を小分類まで割ると、内側でも差があります。
| 職業(小分類) | 有効求人 | 有効求職 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 運輸・郵便事務 | 254人 | 45人 | 5.64倍 |
| 生産関連事務 | 201人 | 90人 | 2.23倍 |
| 営業・販売事務 | 232人 | 252人 | 0.92倍 |
| 会計事務 | 250人 | 416人 | 0.60倍 |
| 一般事務 | 1,695人 | 5,642人 | 0.30倍 |
| 事務用機器操作員 | 30人 | 176人 | 0.17倍 |
一般事務は求人1,695件に対して求職者が5,642人います。1件あたり3.3人です。パートで見ても事務は0.32倍、一般事務は0.28倍で、同じ傾向になります。
ここから言えるのは、広島で事務職の募集をかけた場合、応募自体は集まりやすいということです。
「採れる」ことと、「雇えるだけの量がある」ことは別
応募が集まることと、専任を1人置く判断は別の話です。人を1人増やすと、月々の固定費がどれだけ動くかを機械的に置いてみます。
| 前提 | 時間額1,085円 | 時間額1,141円 |
|---|---|---|
| 1日8時間・月20日 | 月 173,600円 | 月 182,560円 |
| 12か月 | 年 2,083,200円 | 年 2,190,720円 |
1,085円は2026年10月10日までの広島県の最低賃金、1,141円は10月11日からの額です(広島労働局のページに効力発生日 令和8年10月11日として掲載・2026年9月12日確認)。上の表は最低賃金額そのままで計算した弊社の試算で、社会保険料や交通費、募集にかかる費用は含んでいません。実際にはこれより大きくなります。
求人側が出している賃金も見ておきます。令和8年6月に受理された一般事務の求人賃金は、下限が平均202,709円、上限が平均240,054円でした。求職者側の希望賃金は平均206,697円です。
従業者4人以下の事業所が多い地域では、事務の仕事量が1人分に届かないことがあります。届かないまま経営者が自分で抱えている状態が、いちばん多い形です。
産業別の新規求人は、14か月続けて減っている
求人そのものの動きも押さえておきます。令和8年6月の新規求人数(原数値)と、前年同月比です。
| 産業 | 新規求人数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 産業計 | 19,722人 | -5.0%(14か月連続の減少) |
| 医療、福祉 | 5,772人 | +9.4% |
| サービス業 | 3,324人 | -7.7% |
| 卸売業、小売業 | 2,400人 | -31.2%(21か月連続の減少) |
| 製造業 | 2,158人 | -1.0% |
| 建設業 | 1,811人 | +4.6% |
| 運輸業、郵便業 | 1,289人 | +2.8% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 800人 | +12.0% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 471人 | -38.4%(9か月連続の減少) |
| 教育、学習支援業 | 308人 | +13.2% |
| 情報通信業 | 233人 | +23.3% |
全体では14か月続けて減っています。減り方が大きいのは卸売業・小売業と生活関連サービス業・娯楽業で、増えているのは医療・福祉、情報通信業、宿泊業・飲食サービス業です。募集を出す側の動きも、業種でまとめて語れる状態にはありません。
自社の仕事を、2つに仕分ける
ここまでの数字を自社に当てはめるなら、次の3つを順に見ていく形になります。
- いま埋めたい仕事は、募集して人が来る側か(事務・運搬・清掃)、来ない側か(保安・建設・運転・介護・生産工程)
- 来ない側の仕事に、経営者や現場の人の時間がどれだけ取られているか
- 取られている時間のうち、毎回だいたい同じ形で終わる作業はどれか
採用でふさげる見込みが高いのは、倍率の高い側です。倍率の低い事務については、雇う前に「その仕事量が1人分あるか」を先に確かめる順番になります。1人分に満たないまま経営者が抱えているなら、そこが任せ方を変える候補になります。
弊社がこれまでに支援した7社(眼鏡店・歯科・内科・スクール・住宅リフォーム)のなかで実測できているのは、メール返信が1時間から15分になった例です。1日1時間かかっていた作業が15分になると、1日あたり45分が戻ります。
任せやすいのは、毎回だいたい同じ形で、判断より作業のほうが多い仕事です。
- メールの返信(朝、下書きが揃っている状態に)
- 見積書・請求書(数字を入れるだけの形に)
- 議事録(録音を渡すと、議事録と宿題リストに)
- 日報・記録(話すだけで貯まる形に)
- 夜間・休日の一次対応(公式LINEでの自動応答)
逆に、人を採るかどうか、値段をどうするか、取引を続けるかどうかといった判断そのものは経営者の仕事のままです。渡すのは、その判断の手前にある材料の準備までにとどめるのが現実的です。
働き手の数そのものの推移は竹原市の事業所1,193件のうち752件が4人以下で、人件費の側からの見方は広島県の最低賃金は10月11日から引き上げへで扱っています。
まとめ
- 広島県の有効求人倍率は1.33倍(令和8年6月・季節調整値)。2か月続けて低下している
- 職業別では保安7.30倍・建設採掘6.30倍に対し、事務は0.40倍。18倍の開きがある
- 事務のなかでも一般事務は0.30倍で、求人1件に求職者が3.3人いる
- ただし応募が集まることと、専任を1人置けるだけの仕事量があることは別
- 新規求人は14か月続けて減少。卸売小売 -31.2%、生活関連サービス -38.4%、医療福祉 +9.4%と業種で方向が分かれる
- 先に決めるのは、採用でふさぐ仕事と、任せ方を変える仕事の線引き
出典
- 広島労働局「管内の雇用情勢(令和8年6月分)」(令和8年7月31日公表。有効求人倍率・新規求人倍率・産業別新規求人数)
- 広島労働局「職業別有効求人・求職及び賃金の状況(令和8年6月分)」(常用および常用パートの職業別有効求人倍率・求人賃金)
- 広島労働局「広島県の最低賃金について」(10月10日まで1,085円・10月11日から1,141円)
※本記事は2026年8月27日時点の公表情報にもとづいています。職業別の数字は常用(パートを除く)の原数値で、県全体の有効求人倍率(季節調整値・パートを含む)とは集計の範囲が異なります。人件費の試算と1件あたりの求職者数は、公表値をもとに弊社で計算しました。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
事務は募集すれば応募が集まる側でした。それでも仕事量が1人分に届かないなら、雇うかどうかを決める前に、ひとつずつ渡して確かめる手があります。この記事の内容と地続きなのは次の仕事です。
任せられる仕事の全体は支援内容の一覧に、任せたときにひと月で戻る時間の試算(約28時間)はトップページにまとめています。
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