コラム
広島県の製造品出荷額等は11兆4,765億円、付加価値額は3.1%減|2024年経済構造実態調査(製造業)
広島県が公表した2024年経済構造実態調査(製造業事業所調査)の結果で、県内の製造業の製造品出荷額等は11兆4,765億円でした。前年より7,842億円(7.3%)ふえ、全国11位です。一方で、事業所が新しく生み出した価値にあたる付加価値額は2兆9,608億円で、前年より945億円(3.1%)減りました。出荷はふえたのに、付加価値は減った1年でした。
業種で見ると、事業所数がいちばん多いのは金属製品の813事業所ですが、1事業所あたりの従業者は17.1人です。出荷額等のおよそ4割を占める輸送用機器(80.2人)と比べると、5分の1ほどの規模の事業所が数多く並んでいます。竹原市・三原市・東広島市の数字もあわせて読んでいきます。
少ない人数の工場で、見積や図面の確認、注文書づくりが経営者に集まっているなら、その事務を人に張りつけたままにしない方法を記事の最後にまとめています →
「製造品出荷額等」と「付加価値額」は何を表しているか
製造品出荷額等は、工場から出荷した製品の金額に、加工賃の収入などを加えたものです。売上に近い数字と考えると読みやすくなります。
付加価値額は、出荷額等から原材料や燃料・電力の使用額、減価償却の額、税などを差し引いたもので、その事業所が新しく生み出した価値を表します。ただし従業者29人以下の事業所は、減価償却の額を差し引かない「粗付加価値額」で集計されています。
読むときに押さえておきたい点が2つあります。1つは時期です。「2024年調査」の金額は、2023年(令和5年)1年間の実績です。もう1つは対象の範囲です。この調査は、出荷額等の大きい事業所から順に積み上げて全体の9割に達するまでの事業所を対象にしています。従業者4人以上をすべて数えていた以前の工業統計とは対象が違うため、事業所数を古い年と並べて増えた・減ったとは読めません。
あわせて押さえておきたいのが、この調査では毎月の動きは分からないという点です。出荷額等は年に1回の水準を示す数字で、いま増えているのか減っているのかを月ごとに見たいときは、別の統計である鉱工業生産・出荷・在庫指数を使います。たとえば令和8年7月の広島県の生産指数は107.0で、前月比は6.1%の低下、前年同月比は5.3%の上昇でした。月ごとの読み方は広島県の鉱工業生産指数の記事にまとめています。金額(この記事)と指数(月報)は別の物差しなので、足し引きはできません。
広島県の製造品出荷額等と付加価値額はいくらか
出荷額等は11兆4,765億円、付加価値額は2兆9,608億円です。主な項目を並べます。
| 項目 | 広島県 | 前年との差 | 前年比 | 全国順位(前年) | 全国の前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 事業所数 | 5,871所 | ▲29所 | ▲0.5% | 13位(13位) | ▲0.5% |
| 従業者数 | 214,305人 | +64人 | 0.0% | 11位(11位) | ▲0.2% |
| 製造品出荷額等 | 11兆4,765億円 | +7,842億円 | +7.3% | 11位(10位) | +3.1% |
| 付加価値額 | 2兆9,608億円 | ▲945億円 | ▲3.1% | 11位(12位) | +2.4% |
全国では出荷額等が3.1%、付加価値額が2.4%ふえていて、どちらもふえています。広島県は出荷額等の伸びが全国より大きい一方、付加価値額は全国と逆に減りました。出荷額等の全国順位は10位から11位に下がり、付加価値額は12位から11位に上がっています。
出荷がふえて付加価値が減った理由は、この概要の資料には書かれていません。原材料の値上がりなども考えられますが、資料から言い切ることはできないため、ここでは数字の並びまでにとどめます。
業種別に見ると、どこが大きいか
事業所数の多い順に、上位の業種を並べます。1事業所あたりの人数は弊社で計算しました。
| 業種 | 事業所数 | 従業者数 | 1事業所あたり | 出荷額等 | 付加価値額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金属製品 | 813所 | 13,868人 | 17.1人 | 3,655億円 | 1,282億円 |
| 生産用機器 | 714所 | 23,362人 | 32.7人 | 1兆1,003億円 | 4,956億円 |
| 輸送用機器 | 649所 | 52,054人 | 80.2人 | 4兆2,929億円 | 7,369億円 |
| 食料品 | 572所 | 27,158人 | 47.5人 | 6,470億円 | 2,406億円 |
| 繊維 | 364所 | 6,802人 | 18.7人 | 2,570億円 | 1,039億円 |
| はん用機器 | 284所 | 8,349人 | 29.4人 | 3,521億円 | 1,601億円 |
| プラスチック製品 | 282所 | 15,094人 | 53.5人 | 5,941億円 | 2,275億円 |
| 製造業の計 | 5,871所 | 214,305人 | 36.5人 | 11兆4,765億円 | 2兆9,608億円 |
輸送用機器は、従業者の24.3%、出荷額等の37.4%、付加価値額の24.9%を占める、県内でいちばん大きな業種です。付加価値額の2位は生産用機器(4,956億円)、3位は電子部品(2,430億円)で、電子部品は43事業所で6,540人、1事業所あたり152.1人と規模の大きい事業所が中心です。
また、出荷額等が2位の鉄鋼(1兆4,724億円)は、付加価値額が▲135億円とマイナスでした。出荷額等の大きさと付加価値額の大きさは、業種によってまったく違う動きをします。
事業所数がいちばん多い金属製品は、どんな規模か
金属製品は813事業所で、県の製造業の事業所の13.8%を占めます。ところが従業者は1事業所あたり17.1人で、県の製造業全体(36.5人)の半分ほどです。繊維(18.7人)とともに、小さな事業所の多い業種です。
従業者1人あたりの付加価値額を弊社で計算すると、製造業全体で約1,382万円、金属製品で約924万円、生産用機器で約2,122万円でした。ただし先に書いたとおり、29人以下の事業所は粗付加価値額で集計されているため、規模の違う業種どうしの比べ方は目安としてご覧ください。
人数の少ない事業所では、製造のかたわらで見積、図面や仕様書の確認、注文書や納品の書類、作業の報告といった事務を、経営者や古くからいる担当者が抱えていることが多くなります。
竹原・三原・東広島の製造業はどのくらいの規模か
同じ調査の市町別の表から、弊社の拠点がある竹原市と、近くの三原市・東広島市を並べます。
| 市 | 事業所数 | 従業者数 | 1事業所あたり | 出荷額等 | 付加価値額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 竹原市 | 49所 | 1,701人 | 34.7人 | 約930億円 | 約257億円 |
| 三原市 | 228所 | 9,273人 | 40.7人 | 約4,433億円 | 約1,422億円 |
| 東広島市 | 508所 | 25,202人 | 49.6人 | 約1兆1,752億円 | 約4,227億円 |
竹原市は49事業所で、業種では食料品と金属製品が6事業所ずつ、生産用機器が5事業所と続きます。東広島市は508事業所で、電子部品は4事業所ながら4,394人が働いています。小さな市町では、事業所の特定につながらないよう金額が伏せられている業種が多く、業種ごとの出荷額までは読めません。
この数字を自社に置き換えると
ここまでを3行にまとめます。広島県の製造業は、2023年の出荷額等が11兆4,765億円と7.3%ふえた一方、付加価値額は3.1%減った。事業所数の最多は金属製品で、1事業所あたり17.1人と小さな事業所が多い。竹原市は49事業所、1事業所あたり34.7人。
出荷がふえた年は、見積の出し直し、図面や仕様書の読み合わせ、注文書や納品書の作成、作業の報告といった事務もふえやすくなります。人数の少ない工場では、その多くが経営者のところに集まります。どれも決まった形があり、過去の書類を手がかりにできる仕事です。
そこで決めておきたいのが、現場の手を止めている事務を、形の決まったものから順に人の手から外しておくことです。過去の見積を探せる形に整えて下書きに使う、図面や仕様書から確かめる点を抜き出させる、注文書や作業報告の下書きを書かせて人が確かめる、の3つに分けられます。渡したぶんの時間は経営者に戻り、書類の型は会社に残ります。
念のため申し添えますと、AIを入れれば付加価値額が上がる、という話ではありません。値決めや取引先との話し合い、設備への投資は、それぞれの会社が判断することです。ここで扱っているのは、そのまわりにある事務の部分だけです。
出典
- 広島県「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」
- 広島県「2024年経済構造実態調査(製造業事業所調査)結果の概要(広島県)」(PDF)
- 広島県「【第1表】[全事業所]市町別>産業中分類別統計表」(Excel)
- 広島県「長期時系列表(~2024年経済構造実態調査)」(Excel)
※本記事は2026年9月16日時点の公表情報にもとづいています。数字は、経済産業省「2024年経済構造実態調査」の地域別統計表(2025年8月29日公表)をもとに広島県がまとめた資料によります。金額は2023年(令和5年)1年間の実績です。表の業種名は略して書いています。1事業所あたりの人数、従業者1人あたりの付加価値額、市町別の金額の億円への換算は弊社で計算しました。付加価値額は、従業者29人以下の事業所では粗付加価値額です。
この記事に出てきた仕事、AIに任せると
小さな工場で出荷がふえ、見積や図面の確認、注文書づくりが経営者に集まっているなら、手をつける順番は、過去の見積や図面を探せる形にまとめる、注文書や作業報告の下書きを任せる、確かめた内容を会社の記録として残す、の3つです。
図面や仕様書から確かめる点を抜き出す例は図面・仕様書の要点抜き出しに、見積を探しやすくする例は過去の見積を探せる形ににまとめています。
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